菅首相の「恫喝&パワハラ体質」

日刊ゲンダイDIGITAL

菅首相の「恫喝&パワハラ体質」が浮き彫り

総裁選めぐる露骨な対抗馬潰しに批判殺到

日刊ゲンダイDIGITAL 2021/08/31 16:02
全国で高止まり状態が続く新型コロナウイルス感染者数、若者にも見られ始めた自宅待機中のコロナ死亡、病床ひっ迫がなかなか解消されない病院……。政府が早急に取り組むべき課題は山積しているにもかかわらず、この国の政治家は一体、何をやっているのか。そう思っている国民は少なくないだろう。とりわけ、呆れてしまうのが自民党総裁選をめぐるドタバタ劇だ。
9月17日告示、29日投開票とされる同党総裁選の候補者をめぐっては、再選を狙う菅首相(72)や岸田文雄前政調会長(64)、下村博文政調会長(67)などの名前が取り沙汰され、連日、テレビや新聞が動向を詳しく報じている。だが、その報道から透けて見えるのは、国民生活そっちのけで私利私欲に走る卑しい政治家の本性ばかりだ。例えば党人事権を握る現職の菅首相は、出馬の可能性が報じられた下村氏と官邸で会談した際、「政調会長が出馬するなら、経済対策の取りまとめをお願いすることにはならない」などと迫ったという。下村氏がこれに応じて、出馬を見送る意向を示したことに対し、ネット上では、<こういう言動を世間では「恫喝」「パワハラ」「脅し」というのではないのか><「お前分かってるよね」っていう意味でしょ、怖いね><同じ党の仲間でも容赦しない菅さん>などと悪評ふんぷんだ。さらに党刷新をアピールするため、菅首相が二階幹事長(82)の交代を柱とする党役員人事を行う方向で調整に入ったと報じられたことについても、ネット上では、<これも対抗馬“潰し”の思惑が見えるね>との意見がチラホラだ。というのも、今月3日に在職5年を迎え、歴代最長記録更新を続けている二階氏交代について、岸田氏が「党役員任期を連続3期3年に限定する」と総裁選の公約に掲げているためで、<岸田氏のアピールポイントを打ち消すため?><再選のためなら自分を担いだ恩師すら、ぶったぎる>などと受け止められているのだ。
菅首相は「コロナに打ち勝った証し」として世論の反対を押し切り、東京五輪を強行。コロナ対策にも全身全霊を掛けて取り組む、と胸を張っていたはず。それほど自身の行動、政治信念に自信があるなら、党総裁選でも堂々と戦えばいい。それなのに報じられる姿は対抗馬の足を引っ張るような行動ばかりだから、ネット世論の批判対象になるのだろう。批判の矛先は大手メディアにも向いている。昨年9月の総裁選で菅首相が勝利した際、そろって「たたき上げの苦労人」「パンケーキ好きの気さくな政治家」などと持ち上げていたためで、<パンケーキの苦労人なんてとんでもなかった。イメージ作りに手を貸したマスコミも悪い><意味をよく理解しないまま官僚答弁を読み続ける会見を許すマスコミの罪><今度の総裁選も同じ過ちを繰り返すワケ?>などと手厳しい。
国民が今、求めているのは、自民党総裁選の行方よりも、野党が要求している臨時国会を早く開催し、実効性のあるコロナ対策を打ち出すことだろう。