太陽光義務付けで負担が増えるのは一般国民

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太陽光義務付けで負担が増えるのは一般国民

公開日:2022年4月20日 更新日:2022年4月20日
国の審議会では見送られた太陽光発電パネルの新築住宅への設置義務付けが、東京都で検討されている。資料を見ると、150万円のPVシステムを買っても15年で元が取れるという。だがこれは、立派な家を新築できるお金持ちな建築主にとっての話。じつは、そのうち100万円は、電気料金を払う一般国民の負担によるものだ。太陽光で発電される電気の価値は50万円しかない。ますます一般国民を苦しめる一方となる義務化は避けるべきだ。

目次

1.10年で元が取れる?

2.一般国民が100万円を負担する

深刻な人権問題を抱えている太陽光パネル

10年で元が取れる?

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中略

すると、150万円の太陽光パネルを購入すると、建築主は15年で元が取れることになっているが、じつは電気の価値はわずか46万円しかなく、一般国民の負担は112万円にも上ることになる。
「東京に家を買える人が、一般国民から100万円以上を受け取って太陽光発電を付け、元を取る」というのが、「太陽光発電義務化」の正体だ。なお以上に加えて、送電線も補強しなければならないし、大量に導入すると、太陽が照った時に一斉に発電して、余った電気は捨てることになる。このときは事業用のメガソーラーの電気を捨てることになるだろう。また火力発電は太陽の気まぐれに合わせてオンオフを繰り返すことになって、傷(いた)みやすくなるし、発電効率も下がる。これらの費用負担も、結局はみな一般国民が負担する。
深刻な人権問題を抱えている太陽光パネル
他にも、国土交通省の議事録を見ると、義務化がいかに問題だらけで、コスト懸念も大きいかが分かる。
太陽光パネルは、新疆(しんきょう)ウイグル産が世界の生産の半分を占めているなど、深刻な人権問題も抱えている。
このように見てくると、太陽光パネルの設置の義務化には、到底、賛同できない。

筆者:杉山 大志(すぎやま たいし/キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。温暖化問題およびエネルギー政策を専門とする。産経新聞・『正論』レギュラー寄稿者。著書に『脱炭素は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『15歳からの地球温暖化』(扶桑社)、『地球温暖化のファクトフルネス』『脱炭素のファクトフルネス』(共にアマゾン他)等。