「アベノマスク」8200万枚いまだ倉庫に

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血税115億円がムダに 会計検査院が調査

公開日:2021/10/27 14:10 更新日:2021/10/27 14:10
やっぱり「アベノマスク」は役立たず――。政府が実施した新型コロナウイルスの対策事業について会計検査院が調べたところ、昨年調達された布マスク(アベノマスク)のうち、今年3月時点で約115億円分が倉庫に保管されたままだったことが分かった。政府は2020年3月以降、全世帯向けのいわゆるアベノマスク約1億2000万枚と、介護施設や保育所用などとして約1億4000万枚の布マスクの計約2億6000万枚を調達。ところが、今年3月時点で約8200万枚が配られず、倉庫に保管されていたという。
平均単価は約140円で、総額約115億円に相当。会計検査院の調査では、コロナ対策で実施された「雇用調整助成金」「持続化給付金」でも、計約20億円の不正受給が確認されたという。
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著者:金子勝立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

金子勝の「天下の逆襲」

公正なルールを欠いた岸田自民は日本経済の衰退を加速させる

公開日:2021/10/27 06:00 更新日:2021/10/27 15:12
総選挙をめぐる報道を見ていると、大手メディアは与党に忖度していると思えてならない。本当に問わなければいけないのは、安倍・菅・岸田政権のありようだ。ところが、取り上げるのは表面的な政策ばかり。給付金支給の有無とか、スローガンに過ぎないところを争点化することで、有権者の選択は歪められかねない。
この4年間、この国で何が起きたかをハッキリさせないといけない。問題は大きく3点ある。まず、コロナ失策によって死者は1万8000人を超えた。東日本大震災と同等の被害だ。英国では国会議員が超党派でまとまり、科学者もリーダーシップを発揮してコロナ対策を検証し、ジョンソン首相が謝罪する局面があった。しかし、日本ではそうした動きは全くない。政策を間違えても責任を問われず、間違え続けるのであれば、政策論争の意味はない。
医療崩壊が起きた大阪では100万人当たりの死者が344人に達した。病院削減が原因にもかかわらず、張本人の維新が「身を切る改革」をシレッと訴え続けているのは、本質的な追及を受けていないからだ。
次に、アベノミクスの失敗についても検証されていない。20年以上も実質賃金が下落しているのは日本だけで、韓国にも抜き去られた。成長戦略に掲げた原発輸出、カジノ、リニア中央新幹線、東京五輪によるインバウンド拡大。すべて失敗した。
大臣の暴言やNTTによる高額接待を見る限り、デジタル戦略もうまくいっているとは思えない。「成長と分配の好循環」がどうすれば生まれるのか、岸田首相の口からはキチンとした説明がない。
「新しい資本主義」とかいうスローガンは、安倍・菅政治との決別を印象付けるための小道具だ。だから中身はなく、古くさい縁故主義がはびこっている。口利きワイロ疑惑を抱える甘利幹事長の復権は象徴的だ。アベ、アソウ、アマリ、キシダとみな世襲でまるで江戸時代に逆戻りだ。政権交代によって、モリカケ桜問題をはじめとするあらゆる疑惑に関連する公文書をオープンにし、国家私物化を白日の下にさらさないといけない。公正なルールを欠いた資本主義は経済を衰退させるからだ。
安倍、菅、そして岸田へと続く9年間の自民党政治が日本社会をぶっ壊した。メディアの検証能力が著しく減退したことで、根本的な問題が忘れられている。
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My Comment

安倍、菅内閣の8年間に行われた数々の汚職、選挙違反、行政文書の改ざん、財界優遇、竹中平蔵の暗躍黙認、コロナ対策の不手際、事実の隠蔽、国会の長期閉鎖、与党の国対の姑息、釈明困難と見るや病気を理由に敵前逃亡等々数え上げればきりがないほどの悪代官ぶりを容認してきた日本国民はお人よしにもほどがある。
これらの反省評価を経たうえでなければ、単なるバラマキの公約などあてにできない。自民党にお灸をすえるためにも、この選挙で下野させなければならない。
このまま自民党に政権を任せると再び暗黒の数年が続くことになる。
新しい未来への国つくりに意欲ある政治家が出てくることを期待する。