統一教会の実態

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安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態

全国の社会福祉議会に多額の寄付で教団のイメージアップや信者獲得を目論む

公開日:2022/08/03 06:00 更新日:2022/08/03 06:00
教団は全国の社会福祉協議会(社協)にカネをバラまき、災害時には選挙活動と同様に「ボランティア要員」を派遣していた。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は地方自治体に相次いで寄付を行っていたが、多額の寄付は全国の社協にも及んでいた。社協はすべての都道府県・市町村に設置されている非営利の民間組織で、全国に1800弱あり、地域福祉の推進を担っている。「行政からの補助で賄っていますが、寄付は主要な財源でそれを地域に還元しています。10万円の寄付ともなれば、かなりの額です。団体の名前が変更されていたので、十分な認識がなかったのではないか」(全国社会福祉協議会広報室)
市社協には2017年から20年まで、旧統一教会から32件計108万円の寄付があった。「当時、宗教団体という認識はあったと思いますが、寄付金自体が善意で成り立っているため、受けないという明確な判断基準がありません」(担当者)
寄付をすれば、各社協のHPや広報紙に団体名や寄付した際の写真が掲載され、地域住民の印象は良くなる。愛媛県社協に対しては、18年に県内で起きた豪雨災害をきっかけに、翌19年から3年連続でバザーの収益金計70万円を寄付。東京都荒川区社協には54万1000円を寄付した。
「区として近隣自治体の復興支援を行っていました。寄付金のうち20万円は、台風で甚大な被害を受けた千葉県鋸南町の復興支援に使って欲しいということでした」(荒川区社協担当者)
この他、群馬県高崎市社協にはチャリティーバザーの収益金など35万6276円、仙台市社協にも10万9115円を寄付。すでに10以上の自治体の社協が寄付を受けていることが判明している。全部合わせれば相当な金額になるはずだ。旧統一教会はカネをバラまくだけでなく、「平和ボランティア隊」を組織し、定期的に全国の被災地に信者を派遣している。隊のHPでは、19年に台風被害に遭った千葉県南房総市で活動を行い、2年前に市社協から贈られた感謝状をアップ。HPによると、これまでの被災地への派遣人数は4011人、作業日数は1291日に上る。南房総市社協の担当者がこう言う。「東日本大震災から活動を始められたそうで、別の団体と連携しながら活動していました。ボランティアを通じて、地域活動をするといった感じでした。多い時は10人くらいいて、学生が多かった。旧統一教会の信者とは知っていたが、復興を第一に考え、布教活動をしないことを約束してもらった。少しでも住民を支援したいという思いで協力してくれるのであればと考え、受け入れました。中心人物はボランティア経験が豊富で、これまでも各被災地で屋根のブルーシート張りをしていたそうで、ボランティアが共同で宿泊する施設で寝泊まりしていた。東日本と西日本に拠点があり、入れ代わり立ち代わり、ボランティアがやってきました。長い人は3カ月ぐらいいました」社会福祉事業への寄付や地域貢献で教団のイメージアップや信者獲得につなげていたのだろう。