腹黒すぎる岸田首相

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「物価上昇2%キープ」を自分の手柄に 黒田日銀よりヒドい無策ぶり

公開日:2022/06/07 13:20 更新日:2022/06/07 13:20

物価対策は無策なのに“ツートップ”は自分勝手な解釈

値上げラッシュが止まらない。帝国データバンクによると、7月以降に値上げが決まっている食品は4504品目。現在のペースでは年2万品目に達する可能性がある。ところが、物価政策をつかさどる“ツートップ”は自分勝手な解釈に終始。物価対策は無策に等しい。

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日銀の黒田総裁は6日、都内で講演し「家計が値上げを受け入れている」と語った。黒田総裁の上から目線の決めつけにネット上では猛反発が起きている。
〈我が家は値上げを受け入れていません〉〈かなり重度の浮世離れだ〉〈許容じゃなくて我慢してるだけ。履き違えすぎ〉
「物価の安定」を最重要課題とする日銀のトップが“浮世離れ”ではお先真っ暗だ。
物価高に向き合う姿勢は岸田首相もひどい。これだけ庶民が値上げラッシュに苦しんでいるのに、「物価高騰を抑えている」とアピールしているのだ。
「欧米諸国は物価高騰が7~8%の中、日本は2%台を維持している。わが国(の対策)は間違いなく価格に効果が出ている」(1日の衆院予算委)
「さまざまな政策を用意しているからこそ2%台に抑えることができている」(3日の参院予算委)
どうやら本人は、本気で「岸田政権によって物価は抑えられている」と思っているらしい。金融ジャーナリストの森岡英樹氏はこう言う。
「4月の企業物価指数が前年同月比10.0%増だったのに対し、消費者物価指数(生鮮食品を除く)は2.1%増でした。要するに、企業努力によって末端価格が抑えられている形です。決して岸田政権の政策の効果が出ているわけではありません。それに企業努力と言えば聞こえがいいですが、経費や人件費を削減することで仕入れコスト増を吸収しているのが実態です」賃金が上がらない分、価格上昇が緩和されているだけ
2%は企業努力、「国民の家計は値上げを受け入れていません」
岸田首相は欧米の物価上昇率の高さを強調するが、ここにもゴマカシがある。
「欧米はじめ諸外国は物価高に対応して、賃上げを実施しています。企業は賃金アップ分を価格に転嫁するので、消費者物価が上昇するのです。日本は賃金が上がらない分は価格上昇が緩和されている面があります。企業や従業員に痛みが伴う形でのインフレ率2%を岸田首相自身の手柄にするのはどうかしています。もし、参院選で『2%台』をアピールすれば野党は反論すべきです」(森岡英樹氏)
英仏独は春から夏にかけて、最低賃金(時給)を引き上げた。一番低いドイツでも最低賃金は1460円だ。日本の最低賃金は902円(全国加重平均)。岸田政権は「新しい資本主義の実行計画」に2025年度に最低賃金を全国平均1000円以上とする目標を盛り込むという。究極の「トゥーリトル・トゥーレイト」である。