社長はアベ友

日刊ゲンダイDIGITAL マネー トピックスニュース 記事

「桜を見る会」前夜祭にサントリーがお酒無償提供

公開日:2022/05/27 13:50 更新日:2022/05/27 13:50
参照:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/305837
「桜を見る会」前夜祭を巡る新疑惑を「しんぶん赤旗日曜版」(29日付)がスッパ抜いた。記事によると、安倍元首相の秘書たちは会費(1人5000円)を上回る費用を補填すれば公選法が禁じる有権者への寄付行為にあたると認識し、補填額を抑えるため、大量の酒を会場に持ち込んでいた。しかも、補填ゴマカシに振る舞われた酒は1社からの無償提供で、安倍氏の“お友だち”人脈にたどり着く。

 ◇  ◇  ◇

「公職選挙法に違反する恐れがあることは分かっていた。そのため、私は(中略)前夜祭の会場にお酒を持ち込んだ」
会場となった都内の高級ホテルとの契約交渉を担当した東京の安倍事務所秘書の供述内容だ。
前夜祭の費用を補填したとして、主催した「安倍晋三後援会」の代表だった元公設第1秘書は政治資金規正法違反(不記載)の罪で罰金100万円の略式命令。公選法違反容疑について東京地検は「参加者に寄付を受けた認識がなかった」として不起訴処分とした。
赤旗編集部は刑事訴訟法に基づき東京地検に事件記録の閲覧を請求。開示資料から、2017~19年の前夜祭で安倍事務所側が会場に持ち込んだ酒の種類や本数を詳細に報じている。
問題は酒の出どころだ。会場のホテル職員は「宴会ファイル」を作成。19年分には酒の本数とともに「●●様より前日持ち込み」とあり、電話番号が記されていたという。電話すると「サントリー秘書部です」──。
サントリーホールディングス(HD)広報部は赤旗の取材に「会の開催については、安倍議員事務所から教えていただいた。多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただく良い機会と考え、この会に協賛させていただいた」と回答。酒は「無償」で提供し、各年の酒の金額は「15万円程度」という。

無償提供は違法寄付

「現金以外の物品、つまり酒の供与や交付も政治資金規正法の『寄付』にあたり、収支報告書への記載義務がある。また、企業が寄付できるのは支部を含めた政党か政治資金団体に限られ、『安倍晋三後援会』は該当しません。企業からの酒の無償提供は贈る側も受けた側も規正法違反にあたるためか、安倍事務所は報告書に記載していません。違法に違法を重ねた事務所の管理責任について、改めて安倍氏は自身の口から説明すべきです」(政治資金問題に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)
サントリーHDの社長には14年12月から、まず同社顧問としてローソンから招き入れた新浪剛史氏が就任。その3カ月前に新浪氏は安倍政権下で経済諮問会議の民間議員となり、現在も務めている。安倍氏とは個人的にも親しいようで、首相在任中には休日にゴルフをプレー。サントリーホールでともに夫人同伴でクラシックを鑑賞したこともある“アベ友”だ。18、19年には前夜祭の1週間前に安倍氏と面談・会食している。
「新浪社長は15年10月にサントリーの鳥井副会長、16年10月には佐治会長が同席する中、2年連続で当時の安倍首相や麻生財相ら政府・自民党の要人と高級ホテルで懇談。いずれも税制改正の議論が大詰めを迎える直前で、その後にビール系飲料の税率統一など酒税法の見直しが先送りされた。低税率の『第3のビール』の売上比率の高いサントリーには追い風で、『安倍政権を操る』とニュースサイトに報じられたものです」(経済ジャーナリスト)
日刊ゲンダイはサントリーHD広報部に、新浪氏と安倍氏の個人的関係が酒の無償提供に影響を与えたのかなど、改めて事実関係の確認を求めたが、「赤旗の記事の詳細を確認していないのでコメントは差し控える」とした。

My Comment

かつて、高度成長期に政・財・官癒着が指摘され、金権主義にまみれた日本はバブル経済を破綻させた。その後失われたほぼ30年の間に、組合に守られた労働者とは無関係の派遣社員やパートを安い報酬と労働条件によって搾り取り、高度成長を促した日本的雇用慣習を破綻させてしまった。その結果国民の大多数が貧困に陥り、経済格差が一層拡大してしまった。バブル期に一億総中流意識であった国民所得は、今や世界でも国民所得は世界と比較して23位迄落ち込んでいる。
2017年度のGDPは世界3位の経済大国であるにも関わらず、一人当たりの国民所得はこのありさまである。いかに上流階級が所得をむさぼっているか改めて実感する。
その元凶は、安倍政権の8年の間に、安倍政権と竹中平蔵が行った経済対策である。すなわちパート労働の拡大と消費税増税である。
政・官・財癒着をあぶりだすマスコミがその使命を失い、新聞テレビの社会部記者がこれらの不正を暴く資質に欠け、内閣の顔色を伺うような新聞社などがこれらを独自取材することもなく、政治家の言いなりに垂れ流し、民放やNHKが政治に忖度するなど、まさに日本のバブルがはじけた1990年の頃をほうふつとさせる構図が透けて見える。
「桜を見る会」の明らかな公職選挙法に違反する事件でさえ、闇に葬られようとしている。今からでも遅くない日本をかつての一流国へ回帰させるにはまずこれらの不正を徹底的に解明する必要がある。