科学が証明!ストレス解消法

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科学が証明!ストレス解消法

「ラジオ体操→ジョギング→入浴」は最強モーニングルーティン

公開日:2022年02月04日 更新日:2022年02月04日 by 堀田秀吾
一時期、芸能人をはじめ、さまざな方が「モーニングルーティン」(朝の習慣)の動画を公開し、人気を集めました。朝は、頭の働きが鈍くなるもの。自分に合った習慣を取り入れたいという思いから、多くの人がモーニングルーティンに関心を抱いたのも納得ではないでしょうか。
そこで、私からも科学的なエビデンスに基づいたモーニングルーティンを伝授したいと思います。
脳が働くために必要なのは糖分と酸素。ですから食事で糖分を確保しつつ、運動で心拍数を上げ、酸素の乗った血液を脳にドンドン送り込むことが効果的です。
その実践法として、運動が◎。山口大学の佐々木と塩田が行った実験(2016年)では、被験者にまずラジオ体操を、続いてボールのドリブルやジョギングをしてもらい心拍数を120~140拍/分に高め、その後、計算をしてもらいました。すると、解答数と正答数が向上。つまり、運動してから作業をした方が、頭がよく働いている状態で作業できたのです。
ラジオ体操で頭と体をほぐしたら、定番ではありますが、ジョギングがおすすめです。嫌なことやストレスがたまっているときは、ジョギングをすると気持ちが向上していくことが判明しています。
米ハーバード大学のバーンスタインとマックナリーは、うつなどを含めた感情のコントロールにはジョギングが有効だと述べています。彼らの研究(17年)では、被験者を「ジョギングを行うグループ」と「ストレッチを行うグループ」に分け、それぞれ30分ほど行ってもらった後、涙を誘う映画を観賞してもらいました。
結果としては、映画を見て悲しい気持ちになるのはどちらのグループも変わりはありませんでしたが、その後のリカバリーはジョギングをしたチームの方が顕著に速かったのです。
しかも1週間続けると、最後の運動から72時間以上、1週間までは効果が持続。気分が落ち込みそうになったら、ジョギングをする。継続すれば自律神経の調節機能も改善されて、元気な体質になっていきます。
脳科学者や心理学者の間では、体の動きを見て意識が働きだすことが常識になっています。脳は、頭蓋骨という真っ暗な密室に閉じ込められていて、体の諸器官から送られてくる情報を頼りに自分の状況を判断します。この連載で扱った「フェイクスマイル」を覚えているでしょうか? 口角を上げ笑っているような表情をつくるだけで、実はストレスが軽減される。これは「笑顔だから私は楽しいのだ」と脳が勘違いし、気持ちが高揚していくから。同様に、「変な動きをするほど楽しいのだから、私は楽しいのだ」と脳が勘違いして気持ちが楽しくなっていくのです。
またペパーらは、元気になった生理的要因として、こういった動きが心拍数を上げるためとも分析しています。心拍数を上げるトレーニングは、うつ病の改善策として用いられることもあるほどです。
もうひとつ、米ミシガン州立大学アナーバー校のシャファーらは、脳科学のさまざまな先行研究をもとに、感情は体の動きによってコントロール可能であると、実験(2017年)で示しています。シャファーらは、22人の被験者に、「ハッピー」「悲しい」「怖い」「中立的」な感情を表す動作をする動画を見て真似してもらい、その際の脳の活動をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で記録しました。
すると、跳びはねるようなハッピーな動作をしているときにはハッピーな感情が、肩を落とすような悲しい動作のときには悲しい感情になることが明らかになりました。
ちなみに、これらの感情の動作の動画をただ見た場合、ハッピーな感情の動画は特にハッピーにはならない一方で、悲しい感情の動画を見たときは悲しい感情になるということもわかりました。
彼らは、理論と実験結果を前提に、「子供のようにスキップすると、よりハッピーになる」可能性を論文の中で例として挙げています。気分が落ち込んでいるときは、意図的にヘンテコな動きやスキップをすると◎ですよ。