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オミクロン株は軽症でも隔離が厄介

コロナ不活化「CPC商品」を取り入れる

公開日:2022/01/27 06:00 更新日:2022/01/27 06:00
自分の身は自分で守るしかない。そう思わせるのが、新型コロナのオミクロン株を巡る対策だろう。世界的に後手後手だが、日本は3回目のワクチン接種も遅れている。では、厄介な変異株を自力でブロックするには、どうするか。実は、身近に入手できるものをうまく使えば可能だという。
東京で初めてオミクロン株の市中感染が確認されたのは先月24日。それから1カ月ほどで、9割を超える感染者がオミクロン株に置き換わった。オミクロン株が感染者の9割に達した日数は、アルファ株からデルタ株に置き換わったスピードの3.5倍に上る。感染スピードの速さとは逆に、症状は比較的軽いとされる。オミクロン株が先行する沖縄では、今月8日までにオミクロン株に感染した105人のうち、9割に症状があるものの、半数以上が発熱や咳、全身倦怠感などと軽症だ。これまで特徴的だった味覚や嗅覚の障害は1%でしかない。東京の調査も同様だ。今月7日までに感染した115人のうち2割は無症状。症状のある8割も発熱や咳、喉の痛みなどで軽症。中等症や重症はいなかった。
これらの調査に含まれる感染者は、そもそもコロナが重症化しにくい若者が多い。これから感染拡大にともない、感染者が高齢者や持病のある人に広がると、重症化率が高まる。それが専門家が恐れるシナリオだが、少なくともウイルスの姿が変わったのは事実。新型の登場前、従来のコロナウイルスは、風邪の原因ウイルスのひとつで、新型もそこに近づいているのかもしれない。風邪のウイルスに近づいているとはいえ、風邪とは一線を画す要素がある。隔離期間の長さだ。当初の14日間からの短縮が検討されているとはいえ、インフルエンザの発症から5日より長い隔離が必要だ。仮に軽症だとしてこの隔離期間の長さはつらい。そこで重要なのが、予防だ。
「新型コロナウイルスが登場した当初、気管から肺までの下気道での感染でしたが、オミクロン株は鼻から喉までの上気道に移っています。一般に上気道での感染は、風邪が典型ですから、オミクロン株対策は、丁寧な風邪予防が大切です」
こう言うのは、赤坂山王クリニック院長で、耳鼻咽喉科専門医の梅田悦生氏だ。米ハーバード大や英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究で、オミクロン株は肺よりも鼻などの上気道で感染したり、増殖したりすることが報告されている。それだけに、風邪対策がオミクロン対策でもカギを握るのだ。

飴で喉の保湿と唾液の分泌をアップ

その第一が、喉の保湿だ。空気が乾燥するこの時季は喉が渇きやすく、マスクは保湿のためにも一理ある。それに加えて一工夫したい。「唾液には、ウイルスや細菌の感染を防ぐ免疫物質が含まれています。口の中の乾燥で感染しやすくなるのは、その効果が得られないため。ですから、感染症が広がる今はより唾液の分泌をうながすため、マスクをしながら喉飴をなめるとベターです。もし喉飴をなめるなら、殺菌や抗ウイルス作用のあるものをなめる方がより効果的でしょう」(梅田氏)
たとえば、喉飴としておなじみの「浅田飴ガードドロップ」「ヴィックス」「ガム・メディカルドロップ」などには、CPCと呼ばれる殺菌成分が含まれる。商品の成分表には「セチルピリジニウム塩化物水和物」と表示されるもので、実は新型コロナウイルスについても感染性を失わせることが分かっている。
熊本大学と共同で研究を行った大正製薬の広報担当者が言う。
「試験管内で、CPC溶液と新型コロナウイルス溶液を1対1の割合で混ぜて5分間作用させ、感染性がどう変化するかを調べました。その結果、CPC濃度が0.0125%以上だと、新型コロナウイルスが99%以上不活化することが確認できたのです。あくまでも試験管内の実験ですから、商品の有効性を担保するものではありません」
CPCは、細菌やウイルスの膜を破壊することで不活化する。コロナの変異株も、膜の構造は同様だから有望だろう。梅田氏が補足する。
「コロナ禍の前から、風邪やインフルエンザのシーズンにマスクをして診察する医師の中には、適当なタイミングで喉飴をなめたり、うがい薬でうがいをしたりする人がいます。そういう医師が、風邪やインフルエンザで困ったという話をほとんど聞いたことがありません。この手の話に根拠はありませんが、唾液と感染防御の関係においては理にかなっています」

会議後にスプレー、帰宅したらうがいを

CPCはほかにも、洗口液の「モンダミン PREMIUM CARE」やうがい薬の「キレイキレイ」、口の消毒スプレーの「チョコラBB 口内炎リペアショット」「ヴィックス メディケイテッドスプレー」などにも含まれる。これらをうまく組み合わせて使うと、より上気道の感染対策になり、ひいてはオミクロン対策になりうるかもしれない。
「たとえば、同僚との会話や会議の後、電車やバスなど公共交通機関から降りたときに消毒スプレーを使ったり、帰宅時にうがいしたり。ふだんは喉飴とマスクで保湿をしながら、何かの動作の後にうがい薬などを使うのがコツでしょう」(梅田氏)
なるほど、そうすれば試験管ベースながら、抗新型コロナウイルス作用を持つCPCの力を絶え間なく借りることができる。喉飴をなめる目的が唾液の分泌だった。その唾液に含まれる免疫細胞として重要なのが、IgA抗体だ。唾液のほか、母乳や腸、鼻水、涙にも含まれ、さまざまな病原体から身を守る。こと上気道感染においては、IgA抗体が唾液中に多い人は感染しにくく、少ない人は感染しやすいことが分かっている。

■運動は軽く、食事は発酵食品とビタミンACE

そんなIgA抗体の特性に着目すると、なるべく量を増やしたい。IgA抗体を増やすのに効果的なのは、一つは運動でストレッチや軽い有酸素運動だ。ハードな有酸素運動は逆に量を減らす。もう一つは食事だ。
「腸の免疫と唾液の免疫には相関関係があり、腸の免疫を改善する発酵食品を取ることで、唾液中の免疫物質が増えることが知られています。ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品はおすすめです」(横浜創英大名誉教授・則岡孝子氏=栄養学)
唾液を分泌する唾液腺や耳下腺は、活性酸素に弱く、耳下腺はビタミンCを大量に必要とする。唾液の分泌をしっかりキープするには、唾液腺や耳下腺を守る食事も必要だ。
「野菜や果物に含まれるビタミンA、C、Eは、抗酸化成分の代表。抗酸化成分はビタミンエース(ACE)と覚えるといいでしょう」(則岡氏)
難しいことは一つもない。できることから始めて、オミクロン株を寄せつけないようにしよう。