まだある議員特権!

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乱立する「特別委」委員長には日当6000円

活動実績チョボチョボの仰天

公開日:2021/12/07 14:00 更新日:2021/12/07 15:31
臨時国会が6日、召集されたが、問題視されている議員特権はまたもたなざらしの雲行きだ。「第2の財布」と批判される「文書通信交通滞在費」(文通費)をめぐり、使途公開を求める野党と拒む与党が対立し、法改正そのものが見送られる公算大。ムダが指摘された特別委員会設置についても、頬かむりしている。
国会議員に月額100万円が支給される文通費をめぐっては、日本維新の会と国民民主党が日割り支給や使途公開を義務付ける国会議員歳費法改正案を衆院に共同提出。立憲民主党も7日、類似した内容の法案を提出する予定だ。一方、与党は「日割り支給優先」の建前論をブチ、抜本改正から逃げ回っている。

■委員長に専用車

特権はほかにもくすぶる。文通費問題に火をつけた維新は、衆院に設置される特別委員会の「委員長特権」を問題視。国会開会中は特別委の開催回数に関係なく日当6000円が支払われ、年間通じて専用の公用車が充てられることから、「審議実態と比べ、費用がかかっている」として統廃合を求めたが、賛意を得られず。本会議では賛成多数で9特別委の設置が可決された。確かに、今年の通常国会では、どの特別委の活動もチョボチョボだ。安倍政権以降の「内閣の最重要課題」を扱う拉致問題特別委の審議は全2回、3時間超。震災復興特別委が2回で約5時間。地方創生特別委に至っても7回、約14時間。ならすと、月1回1時間ほどしか開かれていない。要の委員長ポストは自民8、立憲民主党1で分け合っている。特別委の設置は国会法に依拠し、〈特に必要があると認めた案件又は常任委員会の所管に属しない特定の案件を審査する〉と定められているが、本当に「特に必要」なのか。

■野党封じとポスト対策

「現行の特別委は常任委員会の枠組みに収まるものばかりです。にもかかわらず、なぜ設置しているかといえば、法案を政府与党に都合よくスピード処理できるから。もうひとつは、ポストを増やして甘い汁を吸おうという思惑です。もっとも、維新が本気で統廃合を目指しているかははなはだ疑問。できないのを承知で“線香花火”を打ち上げたのではないか」(政治評論家・本澤二郎氏)
「第3の財布」とも呼ばれ、総額55億円が投じられる「立法事務費」も不透明だ。衆参両院の各会派に対して所属議員の数に応じて国会閉会中も交付され、議員1人当たり月65万円に上る。つかみ金の総額は一体いくらに上るのか……。
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国会議員に「第3の財布」が!

年間780万円の立法事務費は領収書不要で使い放題の“お小遣い”

公開日:2021/11/27 06:00 更新日:2021/11/27 06:00
歳費とは別に国会議員に支給される“もう一つの財布”は、月額100万円の「文書通信交通滞在費」(文通費)だけではなかった。「在職期間1日で100万円が支給される文通費は問題だし、使途の透明化など改善すべき点も多い。ただ、文通費自体は情報発信や出張など議員活動には必要です。それよりも、立法事務費はそもそも支給する意味があるのか、疑問の声が上がっています。趣旨に沿った使われ方から程遠いからです」(永田町関係者)
立法事務費は衆参両院の各会派に対して所属議員の数に応じて支給される。議員1人当たり月65万円、年間780万円。総額55億円に上る。1人会派にも認められ、国会閉会中の月も交付されている。
「立法事務費の使い道は法律で『国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費』と決められています。領収書の提出や、使途の報告は必要ありません」(衆院事務局)

ノーチェックなら使い放題だ。

「真面目に立法活動をしている議員もいますが、立法にお金がかかるとは思えません。例えば、省庁へのヒアリングは費用は発生しません。実際、立法事務費は、ほとんど立法活動には使われていないとみられています。とくに与党は、立法作業を官僚に丸投げすることが多く、ほぼ“お小遣い化”しているといわれています」(国会担当記者)
年間780万円ものお小遣いとはおいしすぎる。

「立法事務費にも切り込むべき」

政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「使途が判明していないので、実際に立法にどれだけ費用が発生しているのかわかりません。ただ、テーマによってはお金がかかることもあるでしょう。文通費の問題に加えて、立法事務費にも切り込むべきです。文通費と立法事務費を合体させた上で、使途を報告させ、余ったお金は国庫に全額返納させる。その際、関連の政治団体への寄付は禁止し、プールできないようにする必要があります」
厚労省の内部調査から、国会議員が地元で使う「あいさつ文」などの作成を厚労省の職員に依頼している実態が明らかになっている。依頼件数は報告されただけでも、1年で400件以上に上り、与野党議員に及んでいるという。
あいさつ文すら自分で書けない国会議員に、立法事務費を支給しても、マトモに法律を作れるとは思えない。