維新が主導「文通費問題」見直し案に抜け道!

日刊ゲンダイDIGITAL

野党が“セルフ領収書”スルーの厚かましさ

日刊ゲンダイDIGITAL - 12/11 14:23
国会議員の「第2の給与」と呼ばれ、月額100万円を支給する文書通信交通滞在費(文通費)の見直しをめぐり、与野党が“攻防”を繰り広げている。使途公開などの義務化を求める野党に対し、自民党は日割り支給にしか応じない構えを崩さない。「臨時国会での成立は困難」と解説されているが、茶番を見逃せば血税の私物化は延々に続く。
文通費問題に火をつけた日本維新の会は、日割り支給▶使途公開▶未使用分の国庫返納──を柱とする歳費法改正案を国民民主党と衆院に共同提出。ほぼ同じ内容の改正案を独自提出した立憲民主党に一本化を呼びかけ、党是の「身を切る改革」の演出に躍起だ。
9日の代表質問でも馬場共同代表が「最大の問題は領収書の公開義務がなく、私的に流用されても放置されていることだ。『国会で決めること』などというお決まりの逃げ口上ではなく、自民党総裁、一国会議員としての答弁を求める」と威勢よく岸田首相に迫っていたが、実は盲点がある。野党案はどれも、抜け道の「セルフ領収書」はスルーしているからだ。一部の維新議員は文通費の残額を自分が代表を務める政治団体に「寄付」する移し替えを繰り返し、公金をプール。カネの流れをますます見えなくしている。
政治資金問題に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「国会議員自らが関わる政党支部や政治団体、さらに公職候補者への寄付も禁じない限り、文通費の不透明な使用は正せません。法の趣旨からいって文通費は使途が限定されており、寄付は目的外支出。脱法行為による公金の私物化です。だいたい、維新が未使用分を国庫返納するのかどうか。旧維新の党の分裂騒動では、各政党支部が受け取った政党助成金約8700万円を新設のダミー団体に寄付し、後継の支部に還流するやり方で国庫返納を逃れた前例があります」
与党は言うまでもなく、「ゆ党」も既得権益を手放すまい。野党第1党の立憲も同じ穴のムジナか。