「嗚呼、仰ってますが。」

日刊ゲンダイDIGITAL 政治・社会 政治ニュース 記事
著者:室井佑月作家
1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」

NHKの“広報”が「1億5000万円は買収には使われていない」

という自民党の嘘を全国放送で流した
公開日:2021/10/01 06:00 更新日:2021/10/01 06:00
1億5000万円が全部ビラ代なら、広島県民一家に162枚もビラが届いたことになる…あり得ないでしょ
「党本部からの1億5000万円のうち、1億2000万円が政党交付金によるもので、ほとんどが機関紙や政策チラシの作成などに使われる一方、買収には使われていないことが確認できたとしています。」(NHK)
これは9月22日のNHKニュースでのアナウンサーかスタッフの言葉。VTRには、元自民党だった河井夫婦が写ってた。ほら、一昨年の参議院選挙、自民党本部から河井案里氏に1億5000万円が振り込まれた、その金が選挙の買収に使われたんじゃないかって疑惑よ。その疑惑について、自民党の報告。VTRには柴山幹事長代理の会見も流れてた。
そして、こういうアナウンスが入る。
『自民党は、検察に押収されていた資料を河井氏側が調べた結果、買収には使われていないことが確認されたと報告を受けたことを明らかにしました。』
で、その後、冒頭に出した言葉だ。
嘘に決まってんだろ。調べてみたらビラって一枚2円程度なんだそうだ。1億5000万円全部がビラなら、278万人の広島県民1人あたり27枚も配ったことになんぞ。もちろん、赤ちゃんも含めてだ。6人家族なら、一家に162枚もビラが届いたことになるんだけどな。
つか、『自民党は(中略)河井氏側が調べた結果、買収に使われていないことが確認された』ってなに? なんで、買収疑惑をかけられている人間に、その問題を調査させんの?
でもって、その調査の報告を受け嬉々として、「買収には使われていないことが確認できた」といっちゃう自民党も自民党だし、そういった自民党側の報告を嬉々として、そのまま全国放送で流すNHKもNHKだわさ。
経費で1億5000万? 一回の選挙にだよ。ちょっと考えれば誰でもおかしいなってわかる。NHKの報道はこれでいいの? これは報道じゃなくて広報。事実の追求って大事な役目忘れたんか?
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誰が見ても“安倍麻生傀儡” 岸田新政権の裏側と今後<上>

日刊ゲンダイDIGITAL 政治・社会 政治ニュース 記事
公開日:2021/09/30 17:40 更新日:2021/10/01 08:43
大メディアは大ウソ報道、ワルたちが跋扈し派閥の論理で決まった総選挙ふたを開けてみれば、一番つまらない候補が新総裁に選ばれた。
2週間もバカ騒ぎが続いた自民党の総裁選は、事前の予想通り、岸田文雄前政調会長(64)と河野太郎行革担当相(58)との“決選投票”となり、<岸田257票vs河野170票>と大差をつけて岸田が圧勝した。
それでも1回目の投票には、どよめきが起こった。事前の予想に反し、岸田が1位になったからだ。よほど嫌われていたのか、河野が獲得した議員票は予想以上に少なかった。100票は堅いと見積もられていたが、獲得したのはわずか86票と、岸田の146票はもちろん、高市早苗前総務相(60)の114票にも及ばなかった。
「議員票が土壇場で大きく動いた。岸田さんは陣営の票読み通りで、増減がなかった。それに対して河野さんは、125票は取るとみられていたのに40票近くも減らしている。そのうち約25票が高市さんに行き、約15票が野田さんに流れた計算です。この40票の目減りは決定的だった。相当な切り崩しがあったのは間違いないでしょう。1回目の投票で河野さんは、党員票の44%を獲得しているのに、議員票は22%。“永田町の論理”が優先されたのでしょうが、党員票と議員票の乖離も相当なものです」(自民党関係者)
大新聞テレビは、今度の総裁選を「派閥の縛りが利かない」「自主投票になる」「衆院選が近いから国民人気の高い候補が選ばれる」などと、シタリ顔で報じていたが、すべて大ウソだった。いつもの総裁選と同じように、長老が跋扈し、派閥の論理で決まったのが実態である。議員による自由投票だったら、党員の支持が低く、国民人気もない岸田が新総裁に選ばれるはずがない。
特に目立ったのが、安倍前首相による中堅・若手議員への“圧力”だった。たとえば最新号の「週刊文春」によると、“河野支持”を打ち出していた柴山昌彦前文科相に電話をかけ、「河野には石破がつく。大丈夫なのか? この先、選挙もあるんだ」と、恫喝とも取られかねない言葉を投げつけていたという。圧力が効いたのか、柴山は河野の推薦人に名を連ねるとみられていたのに、名簿に名前はなかった。
政治評論家の有馬晴海氏がこう言う。
「表向き、各派閥は“自主投票”としていましたが、派閥幹部の意向に従って動いていたのが実態です。“勝ち馬”に乗ろうと、細田派、麻生派、竹下派、さらに情勢を見ていた二階派まで最後には岸田支持で固まった。二階幹事長と岸田前政調会長は対立していましたが、安倍前首相が“仲介”し、27日に手打ちしたという情報も流れています。1回目の投票で河野さんの議員票が極端に少なかったのは、派閥の縛りもあったはずです」
典型的な旧態依然の総裁選で誕生したのが岸田新総裁である。

しぶとく生き残った安倍・麻生と操り人形首相の今後

岸田勝利の裏で蠢いていたのが「2A」と称される安倍と麻生財務相だ。キングメーカー気取りの2人が描いたのは「1回目の投票で河野の過半数獲得を阻止。決選投票で岸田、高市両陣営に連合を組ませ、河野の得票を上回る」とのシナリオ。狙い通りの展開に安倍は喜びを隠そうともしない。投開票後、自ら陣頭指揮を執った高市陣営の会合で「多くの自民党支持者が自民党の元に戻ってきてくれた」と破顔一笑だった。
総裁選中も安倍はなりふり構わず“直電作戦”。若手議員の携帯に直接電話をかけ「高市さんを応援して欲しい」「でないと衆院選での応援は難しい」と半ば脅迫し、衆院選直前に安倍を敵に回したくない若手を震え上がらせた。予想を超える河野の惨敗を受け、高市陣営の稲田元防衛相は日刊ゲンダイに「(安倍直電の影響が)なかったとは言えない」と打ち明けた。
安倍の謀略に「勝ち目ナシ」と悟ったのか、会場のホテルに集まってきた河野陣営は投票前から“お通夜”状態。いち早く到着した河野は仏頂面を浮かべ、続いた進次郎も硬い表情のまま足早に会場入り。陣営関係者も一様に「手応えナシ」「もう無理でしょ」と嘆息し、ニコニコしていた岸田・高市両陣営とは対照的だった。しぶとく生き残りを図った「2A」の強力な後ろ盾で勝たせてもらった岸田は今後、操り人形として働くことになる。
「安倍、麻生両氏は新政権の人事や政策決定にも手を突っ込んでくるはず。岸田氏も2人の顔色をうかがい続けるようだと、約9年に及ぶ安倍路線の継続は必至。29日の会見でも、岸田氏は安倍氏の“急所”である森友問題の再調査を再び否定した。結局、2Aの都合で傀儡政権が誕生するだけなら、菅首相の不出馬表明以降、約1カ月の政策論争は無意味です」(政治評論家・本澤二郎氏)
安倍と麻生の高笑いはしばらく続きそうだ。
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「高市さんを幹事長に推せ!」

派閥幹部が頭を痛める安倍前首相からのしつこい電話
公開日:2021/09/30 15:00 更新日:2021/09/30 20:48

「総裁選は終わった。ノーサイドだ」

自民党の岸田文雄新総裁(64)は総裁選の投開票が終わった後、こうあいさつしていたが、実際は違うらしい。幹部ポストをめぐって水面下で激しい綱引きが行われているというのだ。党最大派閥「細田派」の所属議員がこう明かす。
「総裁選直後から、安倍さんが幹部にしつこく電話をかけてくるのです。『高市さんを幹事長に推せ』と」
安倍氏は、自分が号令をかけて高市早苗前総務相(60)を押し上げ、それが決戦投票につながり、岸田氏が勝ったのだからポストを与えろ―と言いたいらしいが、理由はそれだけじゃないという。
「安倍さんは菅政権で自分を応援していた右派系支持者が離れたと思っていて、それが不満だったようです。だから、高市さんを幹事長に就けて彼らの支持を取り戻したい。総裁選後、『(これで)多くの自民党支持者が戻った』と話していたのは、その表れです。でも、こう言っては何ですが、安倍さんはもう、うちの派閥を離れているのです。しつこく電話してくるのはたまりませんよ」(前出の細田派議員)
「ノーサイド」どころか、これからが本当の「キックオフ」らしい。