総裁選へ経済対策

東京新聞

岸田文雄氏「小泉改革以降の新自由主義政策を転換する」 

2021年9月8日 12時08分
自民党の岸田文雄前政調会長は8日の記者会見で、総裁選で訴える経済政策を発表し、「小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する」と述べた。
岸田氏は「小泉改革以降の規制緩和、構造改革の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした。他方で富める者と富まざる者の格差と分断を生んできた。コロナ禍で国民の格差がさらに広がった」と強調。「今までと同じことをやっていたら格差はますます広がる。成長を適切に分配しないと格差の拡大は抑えることができない」として、新たな日本型の資本主義の構築すると訴えた。岸田氏は「新しい日本型資本主義構想会議」を設置し、ポストコロナ時代のビジョンを作成すると説明。日本経済再起動のための成長戦略の4本柱の1本目に、「日本の科学技術の力は陰りを見せ、新型コロナのワクチンも日本独自の開発ができていない」として、「科学技術立国」を掲げた。「科学技術とイノベーションへの投資を抜本的に拡大する。世界トップクラスの研究大学建設のため10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置する」とし、民間企業が行う研究開発への税制支援などを行うとした。

◆格差の問題しっかりと目を向ける

このほか、技術流出の防止に向けた国家戦略を策定し「経済安全保障推進法」を制定するほか、デジタル分野のインフラ整備を進めて都市部と地方の距離を縮め、東京一極集中を是正するとした。また人生100年時代の不安解消のため、働く人すべてに社会保険を適用していくとした。また

「令和版所得倍増のための分配政策」の4本柱として

  • ▽下請けいじめゼロ
  • ▽子育て世代の住居費、教育費の支援
  • ▽医療、介護、保育などの現場で働く人の所得を増やすための「公定価格」の抜本的見直し
  • ▽財政単年度主義の弊害是正
    ーを掲げた。岸田氏は「目指す社会はあらゆる人たちの所得を引き上げることによって一体感を取り戻し、国の一体感、社会の安定を目指していく。アメリカですら社会が分断されると民主主義の総本山である議会に暴徒が乱入して破壊行為が行われる。民主主義を守るために格差の問題にしっかりと目を向けなければならない」と主張した。

MyComment

小泉内閣と竹中平蔵による規制緩和、構造改革の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした。と分析しているが果たしてそうだろうか。成長したのは大企業と資本家のみで大多数の国民は貧困にあえぐ日本に変えてしまった。広がった格差をどうしようというのか?新自由主義社会を放置しては解決できないところまで来ている。
これからの日本はあくまでも工業立国としての国つくり以外にない。サービスや流通、観光などの産業は、日本の真の成長ではない。戦後一億総中流化といわれ、日本の工業製品が海外市場を席巻してきた原動力は、勤勉で終身雇用に守られた労働力と工業技術の研究開発力であった。
その意味で、岸田氏のいう方向性はまともである。
戦後復興の奇跡を、すべて打ち壊した小泉内閣と竹中平蔵がいまだに隠然とした経済政策の中心に座っている。これでは岸田氏の言う改革など絵空事である。8年以上に及ぶ安倍・菅一強内閣の嘘つき・隠蔽・官僚の忖度から脱皮するために、岸田氏が真っ先に二階幹事長を更迭する役員任期の方針を明らかにしたことは賛同できる。そして、次の幹事長に誰を選ぶかによって岸田氏が長期政権になるか短期に終わるかが決まる。
まず、安倍・菅政権による民主主義の破壊、疑惑の隠蔽、国会軽視、科学的根拠のない政策の羅列と国民への説明不足等々を権力をかさに傍若無人にふるまってきた、安倍内閣を支持し支えた派閥議員の政治生命を終わらせることが何よりも望まれる。