河井夫妻買収事件は誰が指示?

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著者 適菜収作家
近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。

それでもバカとは戦え

目くらましの五輪選手より検察にエールを

公開日:2021/06/26 06:00 更新日:2021/06/26 06:00
白昼堂々と行われた自民党による大犯罪。2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われた元法相の河井克行に対し、東京地裁は懲役3年、追徴金130万円の判決を言い渡した。国の根幹を破壊する蛮行がまかり通ったのも、「安倍(晋三)さんから」(広島県府中町の町議の証言)と言って現金を配っていたのだから、もらう側も油断があったのだろう。実際、克行自身も検察を抑え込む自信があったようだ。「週刊文春」(2020年6月25日号)によると、広島地検の幹部は記者に対し「官邸が圧力をかけて、河井夫妻の捜査をやめさせようとしている」と発言。また克行は法相に就任すると知人に対し「法務・検察の上に立った。もう何があっても大丈夫だ」と語っていたという(「東京新聞」同年6月19日付朝刊)。
党広島県連の反対を押し切り、克行の妻案里の擁立を主導したのは安倍である。通常1500万円程度の選挙資金の10倍にあたる1億5000万円が河井陣営に流れた理由は、かつて安倍を「もう過去の人だ」とこきおろした元参議院議員の溝手顕正を落とすためだろう。要するに私怨。実際、党広島県連関係者は党本部サイドから「これは総理案件だから」と説明されたという(「毎日新聞」同年6月18日)。この資金が買収原資に充てられることを認識していた場合、公選法の買収目的交付罪に該当する可能性がある。なお、裁判では検察側が資金が買収原資だったと供述した河井陣営の元会計担当者の調書を読み上げている。では誰が指示したのか。党幹部は口を濁して逃げ回っていたが、ついに二階俊博が「党全体のことをやっているのは総裁(当時の安倍)とか幹事長の私。党の組織上の責任はわれわれにある」と自白(5月24日)。菅義偉も「当時の(自民党)総裁と幹事長で行われていることは事実ではないか」と発言(6月17日)。耳をかっぽじって聞いてください。総理大臣と党幹事長が責任は安倍にあると名指ししたわけです。
資金提供が行われた前後には、克行と安倍は頻繁に単独面談を行っている。安倍による犯行であることが明らかになった場合、自民党の存続に関わる問題になる。目くらましの東京オリンピックに浮かれている場合ではない。今、応援すべきは選手ではなく検察だ。

My Comment

安倍政権7年の間に築き上げた、安倍1強による悪事の数々、閣僚、大臣の不祥事を隠蔽し続け、延命してきた守護神黒川を、定年延長してまで検事長へ就任させてきたが、あえなく掛麻雀事件でその後ろ盾を失った安倍が、コロナ失政と健康上の言い逃れで総理の座から遁走した安倍晋三が1年もたたずにまたぞろ自民党指導者としてあらゆる場面で露出し始めている。いま国民は、通常国会が閉じられ、ワクチンとオリパラに目を奪われて政治や不祥事には目が向けられていない。
詰めの段階にある河井克行の選挙法違反に使われた1.5億の政党交付金が公選法の買収目的交付罪に当たるといわれる。この指示を出した張本人はもうすでに安倍晋三以外にあり得ない。この不正を明らかにできなければ、日本の検察はその存在意義を失う。これ以外にも、森加計問題、財務省改ざん問題、さくらを見る会等々これまで不起訴で国民の前にその不正が隠蔽されてきたすべての案件を白日の下にさらすために検察の本気度を期待している。