「桜を見る会」中止は悪事の自認

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著者:小林節慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)

ここがおかしい 小林節が斬る!

菅首相が表明した「桜を見る会」中止は悪事の自認に等しい

公開日:2020/09/20 06:00 更新日:2020/09/20 06:00
16日の記者会見で、菅首相は、首相主催の「桜を見る会」は2021年以降は「中止」すると表明した。周知の通り、19年春の同会を安倍首相(当時)が私物化したことが問題になり、その際の招待者名簿は、野党議員による資料請求の直後に廃棄されてしまった。
菅首相は、当時、安倍内閣の官房長官として、「桜を見る会」の私物化を知る立場にあった。それは、公選法違反の買収、刑法違反の背任、横領、財政法違反の予算の目的外使用であるからこそ、その証拠である記録は表に出せるものではないのであろう。しかし、日本国の行政において記録は必ず存在する。そのような行事を「やめた」ということは次のような意味があるだろう。①まず、21年に先例通りに「桜を見る会」を開催した場合、当然にマスコミ等により監視・記録され、必ず、説明に窮する事実が出てくるはずである。だからといって、それを避けた内容では会を開催するうまみがない②また、会を続行した場合、当然のことながら次回に向けて記録を残さなければならないはずで、そこで、記録を残さなかった19年との矛盾を突かれて返答に窮することになる③さらに、19年の首相の「犯罪」の公訴時効は3年であるから、22年5月までは刑事事件として立件できる。だから、全ての証拠を知り得る立場にいた新首相としては、時効が完成するまで「桜を見る会」が政治問題化して国民の中から19年の会に関する資料請求が湧いて出てくることは避けたいはずである。
つまり、今回の中止決定は、政権として19年の悪事を「自認」したようなものである。同時に、菅政権が続く限り、権力により証拠が隠されている以上、19年の「桜を見る会」を刑事事件として立件することは不可能である。しかし、世論調査で明白なように国民の過半数は政府の説明に納得していない。そして、制度上、1年以内に総選挙は必ず行われる。その際に政権交代が起きれば、政府の記録は当然に公開されることになる。そうすれば、「桜を見る会」だけでなく、モリ・カケ、給付金中抜き法人等の闇の全てを明らかにできることになる。
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ジャパンライフ元会長ら逮捕「桜の会」で跋扈の悪徳マルチ

公開日:2020/09/18 14:00 更新日:2020/09/18 14:00
磁気ネックレスなどの預託商法を展開し、破産した悪徳マルチ業者「ジャパンライフ」(東京)が債務超過を隠して顧客と契約したとされる事件で、警視庁や愛知、福島両県警など6都県警の合同捜査本部は18日、詐欺容疑で元同社会長の山口隆祥容疑者(78)ら14人を逮捕した。
全国の高齢者ら顧客7000人以上、負債総額約2400億円に上る消費者被害は、巨額詐欺事件に発展する見通しとなった。同社をめぐっては、安倍晋三前首相が主催する「桜を見る会」に山口容疑者が招待され、安倍前首相の名前入りの招待状の写真を顧客勧誘用の宣伝チラシに掲載していたことが判明している。招待の経緯などについて、野党が国会で追及していた。同社は、磁気ネックレスなどを顧客に数百万円で購入させ、別の顧客に貸し出して購入者に年6%のレンタル料を支払うオーナー商法を展開。高齢者を中心に客足を伸ばし、37都道府県に約80店舗を構えたが、信用調査会社の東京商工リサーチによると、2017年12月に事実上倒産した。被害対策弁護団が同月、詐欺や特定商取引法違反(事実の不告知)容疑の告発状を愛知県警に提出。捜査本部は19年4月に12都県の約30カ所を同法違反容疑で家宅捜索するとともに、山口容疑者らから任意で事情聴取していた。被害を拡大させた安倍前首相の責任は重大。菅政権でも国会の火種になることは間違いない。