ここまで劣化した国に希望はあるのか

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官僚機構の自己崩壊も2022年はさらに進む

リセットには政権交代が必要

公開日:2022/01/01 06:00 更新日:2022/01/01 06:00
それにしても、安倍長期政権でこの国は完全に底が抜けてしまった。公文書や統計の隠蔽、改ざんが常態化。負の遺産は広く深く浸透し、救いようがないまでに社会を蝕んでいる。つい最近も、国交省が国の基幹統計でGDP算出にも使われる「建設工事受注動態統計」を改ざんしていたことが分かった。厚労省も「毎月勤労統計調査」を不正操作していたことが18年に発覚したが、国の基幹統計がデタラメでは、何を信じればいいのか。改ざんは政権の失策を糊塗するための忖度なのか。
都合の悪い数字は改ざんされ、文書も隠蔽、破棄されてしまう。「真実を知りたい」と国を訴えても、「認諾」で強引に裁判を終結させて疑惑にフタだ。
「国の基幹データ改ざんなんて、民主主義を揺るがす事態で、とても先進国とは言えない。安倍元首相が8年も居座った結果、官僚機構も大メディアも忖度機関と化し、司法も信じられなくなってしまった。粉飾のアベノミクスで金持ちだけがいい思いをし、格差が拡大して社会は荒廃している。嘘と腐敗にまみれた安倍政権の異常性は犯罪的です。そのウミはこれからまだまだ出てくる。ひどい国になってしまいました」(政治評論家・本澤二郎氏)
数字をいじって現実を隠し、経済も外交も「うまく行っている」と国民を欺き続ける間に日本は世界から取り残されてしまった。後ろ向き、内向きな発想しか出てこない衰退国家の様相だ。国会議員の地元会合用のあいさつ文まで書いてやるなど、アホな政治家に振り回されてきた官僚機構の自己崩壊も始まるだろう。“安倍離れ”をジワジワ進めているように見える岸田だって、国民生活より大企業と政権延命が大事なのだから、自民党政権が続く限り何も変わらないのだ。悪事も不正も闇に葬り去られていく。希望を取り戻すためには、やはり政権交代が唯一の手段なのである。諸悪の根源を追放するしかない。そうしてリセットする以外に、この国の未来はないのだ。
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参院選が分水嶺

野党は分裂、瓦解し、大政翼賛会という政界再編も

公開日:2022/01/01 06:00 更新日:2022/01/01 06:00
立憲民主党にとって、夏の参院選は党の存続すら左右する大分岐点になりそうだ。10月の衆院選で議席3倍増の躍進だった日本維新の会は、メディアがチヤホヤすることもあり、ますますイケイケドンドン。逆に立憲は、枝野前代表の後を受けた泉代表が「提案型野党」を標榜するも現状では不発。共産党との共闘がメディアや支持団体「連合」の猛バッシングに遭い、もがいていることもあり、存在感を見せられないでいる。その結果、最新の政党支持率で、維新が立憲を抜いて野党トップになる世論調査も出てきた。「ゆ」党の維新だが、参院選に向け、自民党との違いを際立たせるため野党色を強めていくだろう。「文通費」問題しかり。臨時国会最終日に「審議がないのに手当をもらえる特別委員長は税金の無駄遣い」として、所属議員が委員長を辞任したのも同様のアピールだ。
立憲の小沢一郎衆院議員が日刊ゲンダイのインタビューで参院選について、「(立憲は)このままじゃ惨敗しかねない。維新はいい気分でどんどん候補者を立ててくる。維新が1人区に全部立てれば、下手すると、立憲はどこも取れないかもしれない」と言っていたが、その通りで、維新は参院選で、関西限定政党から全国政党への脱皮を目指している。国民民主党もこれに便乗し、維新との協力を加速。さらに国民民主は、小池都知事の「都民ファーストの会」との連携も進めている。「維国ファ」の攻勢を前に、立憲は埋没しかねないのだ。
そうなれば、参院選後の国会は野党不在の大政翼賛会。立憲は迷走し、またしても分裂・瓦解、政界再編への道を歩みかねない。
「多くの国民は、ちゃんとした野党が存在し、緊張感のある国会にして欲しいと望んでいます。第2自民党がたくさんあっても仕方ありません。野党が分裂して小政党になれば、なおさら自民党には勝てなくなる」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
こんなシナリオが現実になっていいのかどうか。参院選は有権者にとっても分水嶺だと意識した方がいい。