国会議員に「第3の財布」が!

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年間780万円の立法事務費は領収書不要

使い放題の“お小遣い”

公開日:2021/11/27 06:00 更新日:2021/11/27 06:00
歳費とは別に国会議員に支給される“もう一つの財布”は、月額100万円の「文書通信交通滞在費」(文通費)だけではなかった。「在職期間1日で100万円が支給される文通費は問題だし、使途の透明化など改善すべき点も多い。ただ、文通費自体は情報発信や出張など議員活動には必要です。それよりも、立法事務費はそもそも支給する意味があるのか、疑問の声が上がっています。趣旨に沿った使われ方から程遠いからです」(永田町関係者)
立法事務費は衆参両院の各会派に対して所属議員の数に応じて支給される。議員1人当たり月65万円、年間780万円。総額55億円に上る。1人会派にも認められ、国会閉会中の月も交付されている。「立法事務費の使い道は法律で『国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費』と決められています。領収書の提出や、使途の報告は必要ありません」(衆院事務局)

ノーチェックなら使い放題だ。

「真面目に立法活動をしている議員もいますが、立法にお金がかかるとは思えません。例えば、省庁へのヒアリングは費用は発生しません。実際、立法事務費は、ほとんど立法活動には使われていないとみられています。とくに与党は、立法作業を官僚に丸投げすることが多く、ほぼ“お小遣い化”しているといわれています」(国会担当記者)
年間780万円ものお小遣いとはおいしすぎる。

「立法事務費にも切り込むべき」

政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「使途が判明していないので、実際に立法にどれだけ費用が発生しているのかわかりません。ただ、テーマによってはお金がかかることもあるでしょう。文通費の問題に加えて、立法事務費にも切り込むべきです。文通費と立法事務費を合体させた上で、使途を報告させ、余ったお金は国庫に全額返納させる。その際、関連の政治団体への寄付は禁止し、プールできないようにする必要があります」厚労省の内部調査から、国会議員が地元で使う「あいさつ文」などの作成を厚労省の職員に依頼している実態が明らかになっている。依頼件数は報告されただけでも、1年で400件以上に上り、与野党議員に及んでいるという。
あいさつ文すら自分で書けない国会議員に、立法事務費を支給しても、マトモに法律を作れるとは思えない

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「身を切る改革」とは旧民主党が政権を取ったときに、行政改革と称して
野田佳彦・第95代内閣総理大臣が2012年1月26日の衆議院本会議において述べた、行政改革・政治改革などを譬えた表現である。
「身を切る改革」は、消費税増税案を中心とした改革案を前提として、公務員給与の見直しなどを行う方針を表明したものであった。具体的な案として、歳費の引き下げ、国会議員の定数削減などが想定されていた。
にもかかわらず、旧民主党が政権を自民党に復活させたのはこの公約にない消費税増税案であり、その条件として、国会議員の定数削減やら公務員給与のみなおし、無駄な予算の仕分け作業があった。
旧民主党のいう3党合意は一向に果たせぬまま消費税だけを自民党が推し進め、議員定数などは本気でやる様子はない。国民だけが消費税を押し付けられ「身を切る改革」など議員が自ら実行するはずがないことを、前安倍・菅政権が示してきた。ここにきて議員の文書交通費のずさんな支給やら、立法事務費やらのずさんな国会経費の存在が明らかになってきた。
一度やったらやめられぬ議員という立場は、民主主義の本来の主権者の代表としての使命感を失い、これらの特権を持ち続けることにしか頭にない国会議員がなんと多いことか。
これらすべては、国会議員になれば上級国民になれるという誤った高額の議員報酬であったり、議員特権優遇の国会の在り方が原因である。
今こそ思い切った議員定数削減と報酬削減が急務である。
国の方向や政策に思い入れのない、成り上がりの利益代表議員は国会審議の責任を果たしていないしむしろ不要な議員である。また、新聞やジャーナリスト、記者、政治評論家の中から推薦された委員による国会議員の政治評価・行政監視委員会のような権威ある団体の設立も必要である。それは本来、会計検査委員会の諮問機関としての使命を果たすべきものと思う。いずれにせよ、この安倍・菅政権による国家滅亡へのレールは早く軌道修正しなければ、日本の賃金は欧米、中国、韓国にさえ追い抜かれ、益々格差は広がる一方である。