生堆肥散布に関する経過

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 鹿追町掲示板への投稿文 '09.11.17

このところ肥料の高騰が原因かもしれませんが、畑への堆肥(ほとんど発酵していない生と思われる)の散布が、ひっきりなしに行われ、住民は皆その臭いに悩まされています。堆肥の畑への散布について町はどのような対応をしているのでしょうか。
発酵の程度は何を基準にしているのでしょうか。このような生堆肥は、結局河川へ流入し、水質の悪化にも繋がるものであると思います。
地下水、河川のBOD調査は当然実施していると思いますが、その数値を公開してほしいと思います。

 その回答です。 '09.12.07

鹿追町掲示板をご利用いただきありがとうございます。
回答が遅くなってしまい申し訳ございません
担当係よりの回答を掲載いたしましたのでご確認ください

本町は、農業と観光を柱とするマチであります。農業では、酪農と畑作が中心で、今年は長雨等により成育状況が平年より遅れるなど心配されておりましたが、無事収穫を終えることができました。
さて、生堆肥の散布についてでありますが、ご指摘のように堆肥散布が集中する時期や風向きなどで悪臭がすることがあります。特に8月中旬以降は小麦やコーン収穫後など町内で広い面積を散布しています。
天候や風向きを確認しながら散布後は、早急に畑を耕すよう周辺住民の皆さん或いは環境に配慮した散布をするよう、家畜排せつ物管理適正化指導チーム(町、JA、普及所で組織)等により、農家の方々に指導しご協力をお願いしているところであります。また、町内における水質検査につきましては、河川に流出、或いは地下水に異臭等がある場合を除き、定期的な検査の必要が無く行っておりません。

今後も関係機関と協力し、環境に配慮した家畜ふん尿の適正処理を指導してまいりたいと考えておりますのでご理解願います。

農業振興課畜産環境整備係
0156-66-4035

 上記回答に対する再質問mail '09.12.15

 農業振興課畜産環境整備係殿

 ご回答によれば、生堆肥は異臭を注意しなが散布するように指導するだけで、その安全性を検査する必要はないとの見解と読み取れます。
これは、生堆肥散布が河川汚染や地下水汚染の原因ではないと言い切っているものと受け取れます。
自然の浄化作用には限度があり、畜産振興を図るとき、自然の浄化作用を超える場合、人工的にその浄化を助けていかなければなりません。
 農業を継続性ある産業として推進するには、環境の変化を常に監査しておく必要があり、日本が一時、空気汚染、水質汚染にさらされ公害問題が頻発しましたが、現在は全ての工場・住宅から排水、排煙が排出基準により規制されています。
 農業がこの規制からフリーである根拠はなく、有害排水の影響を調査もしないという町の対応には疑問を感じます。
 少なくとも、生堆肥が雨などで田畑、河川、地下水への汚染を防止するために、畜産農家に屋根付きの堆肥保管場所を設置させたのではないでしょうか。
 鹿追は、家畜糞尿の処理プラントの設置を行っていますが、このような大規模なものではなく、各戸にコンパクトな糞尿処理設備を普及させる必要があり、そのための実験プラントなのではないですか?
このようなコンパクトな設備は畜産大でも研究しておりモンゴル(?)での実証試験も行われると聞きました。なぜ、鹿追でこのような方向を打ち出せないのでしょうか?
これらの設備は、副産物としてバイオガスによる燃料電池から電力が得られ、また、処理後は悪臭のない優秀な有機肥料が得られます。これからの低炭素社会への貢献も出てくるはずです。
 ともかくこの解答では納得がいきません。まず、必要性があるなしにかかわらず、現在の河川、地下水がどの程度汚染しているか、毎年観測していく必要があります。これなくして生堆肥の散布の是非は議論できません。
町担当者は、この種問題に対する危機感を持って対処いただきたい。

以上。

 生堆肥の散布についての再質問に対する回答 '10.02.25

いつもお世話になっております。
回答が遅くなりましたが、メールにてお問い合わせがあった件について
下記の通り担当係より回答いたします。

家畜ふん尿=堆肥や液肥(以下『堆肥』と言います。)の取り扱いについては、平成16年11月1日に『家畜排せつ物法』が本格施行され適正な管理が規定されました。
この法律施行に伴い、堆肥の保管や散布については、利用指針が示されています。ただ、本法では生堆肥散布の量や規制制限等はありませんが散布について過剰とならない配慮が必要とされています。また、このため畜産農家は数千万円投じて堆肥舎等の建設をしてきたところです。

ご意見の堆肥の農地への散布については、農業サイドからみますと、農作物を栽培するうえで有機質肥料として欠かすことの出来ない資源であり資材であります。
鹿追町では全町全農地で土壌調査を実施し、その結果に基づく施肥計算をして作目に必要な堆肥、化学肥料の施用を指導しています。余分な施肥は経費を増加させ環境に負荷を与えることになるため、管内で唯一農協の肥料工場を建設し肥料使用量の適正化に努めています。

堆肥についても有用な有機質肥料として土壌の肥沃化と持続性の高い農業を目的に有効活用を図っているところです。
特に鹿追町は畜産農家と畑作農家が混在しているため次のような推進策を講じています。

① 交換耕作の推進=畜産農家の農地と畑作農家の農地を交換して作付けし、堆肥投入の平準化と農地の肥沃化維持。
② 耕畜連携による飼料用とうもろこしの栽培受委託=畑作農家が牛の飼料となる飼料用とうもろこしを作付けし、畑作農家へ堆肥の投入推進。
③ 堆肥と麦わらなどの交換=牛の敷き料となる麦わらと堆肥を交換。

 また、有効活用を図ると同時に適切な利用が求められていますので、定例的に行う巡回指導検査のほか随時相談に応じているところです。
 散布時期が重なることや風向きにより悪臭苦情もありますが、その都度現地確認し留意事項等指導しています。また全町的には散布時期や散布後の早期処理など関係機関で指導しているところであり長期的な悪臭を発生させないようにしています。

 次に家畜ふん尿の有効活用でありますが、ご意見のように嫌気性で発酵させるバイオガスプラントの普及はとのことですが、現在中鹿追地区にある大型プラントのほか、鹿追町西側高台地区で国の事業による個別プラントを十数基計画しています。また他の地区においても一部検討を予定しています。ただ、寒冷地におけるプラントは個別でも数千万円の費用がかかります。このため簡易で安価なシステムの研究も国に要望をしているところであります。
 
次に河川・地下水の検査についてでありますが、浄水道の水質検査(水道法第20条)や下水処理場の(浄化槽法第11条)水質検査など法的なものは定期検査を実施し公表しています。
また、鹿追町を縦貫する然別川水系での水質検査等は北海道が年間4回(季節ごと)定点観測しており、BOD・ペーハー・大腸菌検査等を実施しており、基準値を超えた場合は関係町村に連絡がされることになっておりますが、これまでのところ基準値を超えての連絡は受けておりません。

このようなことから、鹿追町におきましては浄水道の水検査結果や道が行う河川の水質検査結果を踏まえながら、今後も上部機関との連携を密にし、課題に対する検討をしてまいりますのでご理解願います。

環境とエネルギーこれからの日本のキーワードとなりますが、本町の基幹産業である農業の維持発展もこうした社会情勢と呼応した取り組みが重要であります。地域と共生しうる力強い農業を推進するため環境に配慮した取組みの継続を進めてまいります。町民皆様のご理解を願います。

農業振興課畜産環境整備係

 上記回答に対する再々質問 '10.03.03

 再々質問でしつこいと思われるでしょうがもう一言、提言させてください。

 回答の内容は十分に理解できました。しかし、上水道・下水道の排出基準は当然公表されていますが、私が申し上げているのは、地下水と河川汚染の数値の公表です。
 堆肥舎を数千万円かけて設置してその効果はどうなったのでしょうか。数値が改善されたのでしょうか?感覚的なものでは、納得されないでしょう。
 堆肥舎の設置の義務化は、何らかの環境破壊があったからと考えるのが当然です。何のデータもなしにこのような堆肥舎を建設させる意味は何でしょうか。行政の言い訳ですか?
 堆肥舎を設置するための全体金額と効果はどのように回答されるのですか?

 道が河川の水質観測をしていて、その基準がオーバーしたときだけ自治体が対応するとしか読めません。しかも、年4回は少なすぎる。このような環境問題を考えるときは、定点データを取り続け、全体として増加傾向なのか減少傾向なのかが重要なのです。この地区で家畜飼育頭数の限界が何処にあるのか。畑地への生堆肥の散布の限界は何処なのかを知ることが大切なことです。
 ぜひ定点観測とそのデータを公開することを要望します。5年10年といったスパンで環境変化を観測しなければ意味がありません。今までそのようなデータを測定していないことすら行政の怠慢を感じます。
 住民からの苦情や道からの改善指示が出たときにはすでに後手なのです。農畜産の振興も結構ですが、環境破壊は一度起こるとこれを改善するために莫大なエネルギーと地域破壊が起きます。為政者は、心して慎重に進める謙虚さを持っていただきたい。
 また、個別バイオガスプラントを国にお願いするという待ちの姿勢ではなく、地元畜産大の知見を積極的に活用することが、鹿追町が農畜産業における十勝あるいは日本のトップランナーとなるべく絶好の機会であると思います。
 農業振興課におかれましては、もっと広い視野を持って振興策を考えることが最も必要なことです。

以上