黒岳-北鎮岳登山紀行
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黒岳・北鎮岳の周辺地図と3D画像
黒岳・北鎮岳周辺の地図。
黒岳ロープウエーから、リフトを乗り継いで7合目。7合目から黒岳頂上・
黒岳石室・雲の平・お鉢平・北鎮分岐・北鎮岳頂上往復
烏帽子岳からの3D画像。
左奥に北鎮岳、その右に凌雲岳・桂月山・黒岳へと続く雲の平が見える。
秋の紅葉の頃を想定しての3D画像です。
登山紀行
今回の大雪登山は、八月二十三日に大雪扇沼山登山として計画されていたが、この日、天気予報が雨であったのと、七月には、トムラウシでの遭難事故もあって、登山者にとっては安全についてかなり神経質になっていた事も、延期の理由であった。また、山も扇沼山から黒岳・北鎮岳を縦走して愛山渓へ下りる長丁場に変更された。
この縦走は、初心者にとっては若干きつい計画であったので、山の会は芽室からバスで層雲峡へ向かうが、自分は鹿追から層雲峡へ自家用車で参加し、黒岳から雲の平を経て、北鎮岳(北海道第二の高峰)まで山の会と同行し、その後折り返して層雲峡へ単独で下りることとした。
五時三十分には層雲峡黒岳ロープウエー山麓駅に到着したが、本隊は、バスのため、到着は六時二十分を過ぎていた。
黒岳五合目駅から、三分ほど歩いて七合目まで歩いてリフトに乗る。層雲峡から、ロープウエー、リフトを利用しないで七合目まで到達するのに約三時間はかかるが、ロープウエーリフトで三十分ほどで七合目に達する。
七時過ぎに七合目を出発し、一路黒岳頂上を目指すが、相当に高度があがっているので、登山道は急でぐんぐん高度を増していく。空模様はあまり良くなく、霧もかかっていたが、高度を上げるに従って、少し晴れる気配である。
七合目から一時間ほどで、黒岳山頂に立つ。見渡せる雲の平から黒岳石室にかけて、ナナカマドやつつじの紅葉が目に鮮やかに飛び込んでくる。
大雪は九月になるとすでに秋なのである。ベテランによれば、まだ一週間早かったとのこと。最も紅葉が美しい期間は短く、天候も影響するので何度も足を運んで初めて最高の紅葉に出会えるもののようである。
縦走の行程はまだ先は長く、山頂での休憩もそこそこに次の黒岳石室を目指すが、ここは下りということもあって、ほんの十分ほどで、石室に到着する。ここで有料のトイレを利用し次の行程へ進む。
石室の背後には、文学者大町桂月にちなむ桂月岳や、なだらかな凌雲岳が山裾に紅葉の色模様を配して美しく、更に奥には目指す北鎮岳が、万年雪の雪渓をまとって構えている。
かつて七合目まで、観光で訪問したことはあるが、黒岳の上に、こんな風景があったのである。広々として、平坦な登山道がお鉢平の周辺の稜線に向かって伸びている。雲の平の登山道脇には、ナナカマドやウラシマつつじの紅葉、チングルマの綿毛の白、ハイ松の緑が織りなす見事な色彩があふれ、心地よいトレッキングができる。
登山とは違って、このトレッキングもまた魅力にあふれる行程である。一時間ほどの心地よいトレッキングの後、大雪噴火口を見渡せるお鉢平展望台(二千二十米)に到達する。
ここからは、間宮岳(二千百八十五米)、中岳(二千百十三米)、北海岳(二千百四十九米)、松田岳(二千百三十六米)の二千米級の山々が、噴火口を取り囲むようにそびえ、その背後には旭岳の雄姿が見える。
振り返って、黒岳方向には、印象的な烏帽子岳や、白雲岳が見渡せる素晴らしい景観である。
背後にはこれから登る北海道第二の高峰、北鎮岳(二千二百四十四米)が雪渓を這わせて控えている。
休憩五分ほどで、先へ進む。雪渓を登山道脇に見ながら、三十分ほどで、北鎮分岐へ到達する。ここから尾根沿いに左へ回り込むと、中岳から旭岳へお鉢平をめぐるコースへと続くが、我々は、あと百米足らずの北鎮岳頂上へと向かう。北鎮分岐からは三十分ほどの登りで頂上へ到達した。十時二十五分であった。七合目から約三時間二十分程の行程であった。
山頂は時々霧が流れ、視界を遮り、風も強い。本隊はこれから更に縦走を続け、愛山渓へと向かうが、自分はここから引き返して黒岳・層雲峡へと戻るので、ここで別れることになる。本隊の昼食は、もう少し下って、比布岳付近でとるとのことで、休憩もそこそこに出発していった。
しばらく頂上で霧の晴れるのを待っていると、十分ほどで、霧が晴れ、大雪の山々を堪能した。北鎮岳頂上に登って初めて、北西方向の比布岳や急峻な愛別岳・鋸岳・安足間(アンタロマ)などを見ることができる。しばらくすると、鋸岳の中腹の登山道を下っていく本隊が見え、写真も十分に撮れたので、下山することにした。十時四十五分であった。
帰途は単独行なので、怪我をせぬように細心の注意を払いながらの下山である。北鎮分岐からは、なだらかな下りなので、順調に歩が進む。途中で、ホシガラスがハイ松の実を咥えていくのが見えたり、真っ赤に色づいたナナカマドを撮影したり、ゆっくりと下山した。一時間二十分ほどで黒岳山頂へ戻る。
ここで昼食。正面に桂月岳、凌雲岳の紅葉を眺めながらの昼食は、登山の楽しさを倍加してくれる。遠くに北鎮岳やお鉢平・雲の平・石室などが見渡せ、達成感と感動を覚える瞬間である。十二時二十五分に黒岳から下山。約一時間で七合目へ到着した。
あとは、リフト、ロープウエーを乗り継いで、十三時三十分には、無事層雲峡へ下る事が出来た。
初めての表大雪登山は、多くの経験と素晴らしい景観を与えてくれた。そして約七時間のトレッキング行程を達成した充実感で満たしてくれた。表大雪は、今後何度も訪問することになる予感を感じた一日であった。
写真集
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