「打ちたくない人はいないはずという風潮が怖い」

NEWSポストセブン

ワクチン否定派の声

「打ちたくない人はいないはずという風潮が怖い」

2021.06.14 16:00  女性セブン
「誰かに(ワクチンを)回してあげたい」、「66年間、一回もないんですよ。ここでワクチンを打つと、体が変わってしまうのでぼくは打たないつもり」──。ようやく新型コロナウイルスワクチンの接種が始まったばかりの日本で、ワクチンをめぐる有名人のコメントが波紋を広げている。冒頭の発言は明石家さんま(65才)によるもの。自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組での発言だった。「新宿区では20~30代を優先的に開始」「職域接種は1000人以上の企業から」。ワクチンをめぐる状況は刻一刻と変化する。しかしそれは、あくまでも「打つ人」に限った話だ。この狂騒のなか、「打てない人」の声がかき消されている。大学病院に勤務する40代の看護師は、こう胸の内を明かす。
「個人の打つ・打たないの選択に批判が出るのはおかしいし、何より“打ちたくない人はいないはず”という風潮がつくられてしまうことが怖い。 私が勤めている病院も同様で、接種時期や順番について説明があったときに、『副反応が怖いからという理由で、接種を拒否することは許されない』と遠回しに言われました。つまりこの病院にいる限り、選択肢は“打つ”一択ということ。ですが死亡例があったり、将来的にどんな異変が起きるかわからないことを考えると、接種はもう少し後にしたかったし、何より“打たない”と言えない雰囲気に耐えられなかった。3月いっぱいで退職して、ワクチンが回ってくる順番の遅い別の病院に移ることを決めました」また、別の病院に勤務する看護師は、悩んだ末に接種を受けることを決めた。「病院から『ワクチンを打つか打たないかは個人の問題じゃない。人類を救うためだ』と言われました。確かに、集団免疫がつけば感染が早く収束することは明確です。とはいっても、私たち一人ひとりの意思は尊重してもらえないのかと、悲しい気持ちになったのも事実です。同僚の看護師の中には、『やっぱりどうしても副反応が気になるからワクチンは受けない』と言って、離職した人もいます。ただでさえ忙しいのに、人が減って大変です」医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之さんのもとにも、同様の相談が届いているという。
「ある20代の看護師は、ワクチンを打つか辞めるかの二択を迫られている状況でした。彼女は『将来どんな影響が出るかわからないから、もう少し打つのを待ちたい』と。彼女の不安はもっともですが、職場を失うリスクにさらされている。上長からの指示に従わざるを得ない若い人からの相談が圧倒的に多いです。クラスターを出したくない管理職と、コロナに罹患しても重症化しづらいが、ワクチンの副反応は出やすい若手との間に溝が生まれているようにも思えます」(森田さん)
新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんも、ワクチンには懐疑的だ。自身は打たない決断をし、辞職する覚悟で、職場に意思を伝えたと明かす。「私の場合は運よく経営者に理解があって、意思を受け入れてもらえました。でも医療現場では、同じようにはいかずに退職せざるを得なかったスタッフも珍しくない。特に若い人は免疫が活発であるため、ワクチンを打つことで発熱などの強い副反応が起こりやすい。あまりのつらさに『もう二度と受けたくない』という声も耳にします」(岡田さん)