地に落ちた菅政権

市民マラソン中止なのに

五輪テストマラソン開催方針に疑問の声

5/2(日) 20:36配信
北海道と札幌市で過去最多となる新型コロナウイルス感染者が確認された2日、札幌市の秋元克広市長は5日に市内で予定される東京オリンピックのマラソンのテスト大会を開く方針に変わりがない考えを改めて示した。しかし、「矛盾」を指摘する識者もおり、市民からは五輪自体の開催にも疑問の声が聞かれた。テスト大会は、五輪組織委員会と道、札幌市などでつくる実行委員会が主催。秋元市長は記者会見で、テスト大会について「本番に向けた運営のテスト」だとして必要との認識を改めて示した。同じ日に行う予定だった10キロの市民マラソンは、感染拡大を受け4月19日に中止を決めており「必要最小限の実施」と理解を求めた。道内では2日、過去最多326人の感染者を確認し、このうち札幌市は7割以上の246人。秋元市長は医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を懸念し「緊急事態宣言レベル」と危機感を示す一方で、「時期を変更できないイベントまで強制的に中止する状況ではない。非常に分かりづらいと思うが、感染対策の意味で、沿道での観戦を控えてほしい」と話した。道は4月下旬から「特別対策」として同市を対象に不要不急の外出・往来自粛を要請中で、飲食店などには午後9時まで(酒類提供は午後8時まで)の営業時間の短縮を要請している。北海道科学大の秋原志穂教授(感染症看護学)は「この状況で、市民には自粛や大型イベントの中止を求める一方、テスト大会や五輪の開催準備を予定通り進めているのは、矛盾していると言わざるを得ない」と指摘する。市民からも疑問の声が聞かれる。白石区の男性(67)は「自粛要請したり解除したりと、道や市の対策はダラダラ続いている感じがする。短期間でも市内は外出禁止にするなど強い措置が必要ではないか」。西区の高校3年の女子生徒(17)は「この状況でオリンピックをする必要はないと思う。我慢している市民のことをもっと考えてほしい」と苦言を呈した。秋原教授は「変異株の影響などで感染者数が急増し、ワクチン接種も滞る中、(五輪開催で)海外から数万人が入国するのであれば、市民に不信や不安が広がるのは当然」と語り、市内で予定されるマラソンや競歩について「観客の人数を制限できない。対策を講じるとは思うが、観客の間隔が守られるかは疑問だ」と話す。今後の対策について、秋原教授は「行政が市民に対し『あともう少し気を引き締めて頑張ろう』とメッセージを送り、頑張っている姿を見れば市民も聞く気になる。まん延防止等重点措置や緊急事態宣言などインパクトがある対策は一定の行動変容を見込める。今打ち出すべき時だ」と語った。一方、市民には「大型連休は感染抑制のチャンス。学校や職場に行く必要がなく、人出が抑えられる。ステイホームを徹底すれば、感染の広がりを抑えられる。逆に人出が変わらなければ、大型連休明けは、さらに感染拡大のスピードが加速する可能性がある」と話した。【源馬のぞみ、岸川弘明】
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それでもバカとは戦え

著者:適菜収作家
近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。

自民党はまるで「粗忽長屋」死に絶えてしまった政府の知性

公開日:2021/05/08 06:00 更新日:2021/05/08 06:00
今の内閣、落語に登場するような粗忽な人たちが多いが、一番の問題は「笑えない」ところだ。つい先日も、官房長官の加藤勝信が、定例会見で「ヨセキを含む劇場等に対し無観客開催を要請していると承知している」と発言。原稿に書いてある【寄席】を「ヨセキ」と読んだわけだが、「落語ファン」とされる加藤の正体が無残にも明らかになった。揚げ足をとりたいのではない。誰でも読み間違えはある。しかし、事前に原稿のチェックをしないのは世の中をナメているし、伝統文化や日本語に対する尊崇の念もない。母国語を大切にしない人間が、母国を大切にするはずもない。
受験勉強はできたが、教養がまったくないやつは多い。もっとも今の自民党はそれ以前の話。義務教育レベルの漢字を読むことができない「お山の大将系」が多い。麻生太郎が典型だが、ふんぞり返っているので周辺から間違いを指摘してくれる人がいなくなる。
【踏襲】ふしゅう、【詳細】ようさい、【頻繁】はんざつ、【未曽有】みぞうゆう、【措置】しょち、【怪我】かいが、【完遂】かんつい、【焦眉】しゅうび、【低迷】ていまい、【物見遊山】ものみゆうざん、【前場】まえば、【有無】ゆうむ……。
にわかには信じがたい誤読の数々だが、財務大臣が【前場】を読めないのはさすがに危ない。
菅義偉も日本語が大の苦手。【改定】かいせい、【貧困対策】ひんこんせたい、【被災者】ひがいしゃ、【伊方原発】いよくげんぱつ、【枚方市】まいかたし……。
これでは【市井】を「しい」、【云々】を「でんでん」、【背後】を「せご」と読んだ安倍晋三と同レベル。もっとも元高校教師で元文部科学副大臣の義家弘介が、国会で【便宜】を「びんせん」、【出自】を「でじ」と読む時代なので学力崩壊は行き着くところまで行ったということだろう。
以前、小学生向けの「うんこ漢字ドリル」という本がベストセラーになったことがある。私もそれに便乗して「政界うんこ漢字ドリル」という企画を考えたことがあるが、現政権から〈知性〉の二文字はほぼ死に絶えた感がある。粗忽な連中は、自分たちがすでに死んでいるのかどうかすら分からない。古典落語の演目で言えば、自民党は「粗忽長屋」といったところか。