世界が「五輪中止せよ!」の大合唱

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菅政権ゴリ押しの異様

公開日:2021/04/27 14:00 更新日:2021/04/28 14:06
「安全安心の大会にする」――。3回目の緊急事態宣言の発令を決めた4月23日、東京五輪・パラリンピックの開催基準を問われた菅首相は、そうはぐらかした。しかし、開幕まで3カ月というタイミングでの再々宣言に、海外からも「五輪中止」の声が相次いでいる。
SNS上では海外ユーザーから〈cancel the Olympics!(五輪を中止せよ!)〉の大合唱が湧き起こっている。ツイッター上には、この言葉があふれ、世界中の人が五輪開催に疑問を持ち始めているのだ。
緊急事態にもかかわらず「中止論」を度外視した日本の姿勢に、IOC委員や海外の感染症専門家も疑問を投げかけている。女子アイスホッケー元カナダ代表の4大会連続金メダリストで、IOC委員を務めるヘイリー・ウィッケンハイザー氏は24日、カナダの公共放送CBCの取材に、「開催の可否は医療や保健の専門家が下すべきだ」「開催されるなら、明確で透明性のある説明が必要だ」と指摘。カナダの感染症専門家であるアイザック・ボゴシュ医師もCBCの取材に、「(大会関係者の)隔離もワクチン接種も強制でなければ、感染爆発が起きても不思議ではない」と危機感をあらわにした。

■OECD加盟国ワーストのワクチン接種率

海外メディアも「五輪を考え直す時」(米紙ニューヨーク・タイムズ)、「日本は緊急事態宣言を発令したが、五輪中止は考えてすらいない」(米誌フォーブス)と報じている。英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」(22日時点)によると日本のワクチン接種率は1.32%で、OECD加盟37カ国中ワーストだ。ロクに接種が進んでいないのだから、菅政権の五輪ゴリ押しが、海外から見ても異様に映って当然だ。五輪に詳しいスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏がこう言う。「深刻なコロナ禍に五輪を開催する理由を、菅政権はまったく説明していません。『開催を決めたのはIOC』だと“逃げ口上”を並べるだけなので、海外から不信感を抱かれるのです。日本は選手の生命や人権よりも大会を優先するのか、とシビアな目で見られています」コロナ克服五輪なんて「幻想」を振りまいている場合じゃない。

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バッハ会長“精神論”で大炎上…今や五輪最大のアキレス腱に

公開日:2021/04/30 11:25 更新日:2021/04/30 13:4

国民の怒りはもっともだ。

28日に行われた国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会、政府、東京都、大会組織委員会による5者協議。その冒頭挨拶でIOCのトーマス・バッハ会長は「日本人が粘り強さや、へこたれない精神を持っていることは歴史が証明している。これまで逆境を乗り越えてきたように、五輪だって厳しい状況でも乗り越えられる」と発言。五輪を開催するために不屈の精神でコロナを乗り越えろ! というわけだが、なぜ五輪のために日本人が犠牲にならなければいけないのか。当然のように、インターネット上では「日本は甘く見られたものだ。くやしい」「地続きじゃない小さな島国のことと思って好き勝手に言いやがって」「舐めてんのか」などという声がひっきりなしに飛び交っている。
バッハ会長は21日、「緊急事態宣言は東京五輪と無関係。日本政府による黄金週間(GW)へ向けた感染予防処置と理解している」
と言い放ち、コロナに苦しむ国民感情を逆なでしたばかりだ。口を開けば炎上発言を繰り返すこの男に対し、「日本国民のことよりもまず、なんとしてでも東京五輪を開催したいのです」と、続けるのは国士舘大学の非常勤講師でスポーツライターの津田俊樹氏だ。

■大本命は北京五輪

「IOC会長の言葉とは思えないほど、無責任で身勝手な発言。新型コロナウイルスに対してエビデンスもない“精神論”を持ち出すなんて、まったく信じられません。日本人をおだてて世論を変えたかったのでしょうが、逆効果です。その実、IOCが東京五輪の開催にこだわるのは、今から約10カ月後に控える冬季北京五輪のためです。中国はいま人権問題の渦中にあり、各国でボイコットの機運が高まっている。もし、東京五輪が潰れたら北京五輪が共倒れになる可能性は非常に大きくなります。中国企業は五輪スポンサーについているから、今後のためにも何としてでもつなぎ留めたい。そんな気持ちが東京五輪に向いているのです」
バッハ会長のスケベ心は空振りし、何か言うたびに日本の開催ムードは縮む一方。数々の失言の末に森喜朗(83=大会組織委前会長)が表舞台から去った今、東京五輪開催の最大のアキレス腱はバッハ会長ではないか。