菅政権の失敗続き

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29道県ステージ4の緊急事態予備軍に

公開日:2021/01/15 06:00 更新日:2021/01/15 06:00
「国民の命と暮らしを守る」――。言葉だけが空回りだ。菅政権は13日、緊急事態宣言の対象地域拡大を決定。これで対象は11都府県。菅首相は全国拡大に後ろ向きな様子をにじませているが、悠長に構えている余裕はない。「緊急事態予備軍」は1道28県にも及ぶのだ。菅政権が追加した対象地域は、国が定めた感染状況を示す指標で最も厳しい「ステージ4」(爆発的感染拡大)に相当する。その理由から菅首相いわく、「全国への拡大を防ぐため」に拡大へと踏み切ったが、足元の数字を見ると、見通しが甘過ぎる。

「全国拡大」には及び腰

厚労省の「都道府県の医療提供体制等の状況」(8日更新)を基に、宣言の対象地域となっていない「ステージ4」相当の地域をまとめた(表)。宮崎は6指標のうち4つがステージ4に相当。群馬、滋賀、沖縄の3県は、3指標がステージ4に達し、富山、三重、広島、愛媛、長崎、熊本の6県は2指標が超えた。宣言の対象地域となった岐阜、愛知、京都もステージ4に達しているのは6指標のうち4つ。同じく対象となった兵庫は、ステージ4相当は3指標にとどまる。1つの指標がステージ4に抵触する地域を合わせると、「緊急事態予備軍」はナント、29道県。うち25県は「新規感染者数の前週比」が1以上だ。しかも、2つ以上の指標がステージ4超えの10県のうち6県(群馬、三重、滋賀、愛媛、熊本、長崎)では8日以降、過去最多の新規感染者数を更新している。つまり、感染拡大は全国各地で広がっているのだ。ところが、政府はこの期に及んで宣言の全国拡大には及び腰だ。「私権制限が伴うものは必要最小限にすべき」(コロナ担当の西村康稔経済再生相)とアレコレと理由をつけているクセに、菅首相は13日の会見で「対象地域以外でも、飲食店の時間短縮などの措置を講じる場合、国として対象地域と同じ支援を行う」とブチ上げた。だったら、先手先手で宣言の全国拡大に踏み切ったらどうか。

旧日本軍の戦術と同じ

法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう指摘する。
「菅政権のコロナ対策は大戦中の旧日本軍と同じ、逐次投入戦術です。日本軍は戦力を出し渋り、大敗しました。菅政権も場当たり対応を繰り返し、後手に回っています。経済を少しでも回したいから感染拡大防止を徹底できず、結局、感染が広がる。こんな失敗を昨年から繰り返しています。菅首相は『様子を見ながら判断』とよく口にしていますが、感染拡大の数字より、支持率で頭がいっぱいなのではないか」
同じ失敗を繰り返す菅首相こそ、「国民の命と暮らし」を脅かしている。

My Comment

一部業界の献金を受けているスガ政権にとって、彼らのいう経済危機を救うために、必要な都市封鎖にも及び腰であることは明白である。しかも本当にコロナで疲弊しているのは彼らではなく非正規雇用や単身親家庭の子供たちである。夢を持って学習する子供の将来を考えるとこれが日本の子育ての実態だと思われて仕方がない。最も必要とする人を救うために、国会議員や公務員は今こそ自らの報酬をは放棄してでも早急に救済を行ってほしい。最も納得できる対策はアメリカのように個人給付金である。すべての国民が1か月2か月都市封鎖があっても、この給付金で安心して外出自粛に応じられる。生活基盤の最低保証をまず行うことが先決である。
飲食店や観光業界もこの間商売ができなくとも国民一律給付で何の不満もないはずである。経済支援はコロナが収束した後でも十分対応できる。
しかも、この機会に進まないマイナンバーカードの普及も可能であるはずで、機会を逃さず国がやりたかったマイナンバー制度のより良い方向へシフトできる好機でもある。今時、個人情報の保護よりも日本国民であるために必要な政策であったはずである。国民も一部人間の個人情報忌避論に懐疑的である必要がある。とにかくスガ政権は利害関係者が権力を捻じ曲げているので有効な対策も打てないでいることは明白である。こんな財界・業界傀儡の政権ではコロナは収束しないだろう。オリパラも中止の決断をして即刻退陣してもらいたい。