それでもバカとは戦え

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著者:適菜収作家
1975年生まれ。作家。近著に「国賊論 安倍晋三と仲間たち」、「ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体 」など著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。

ファシズムとは空虚な大衆運動…破壊が自己目的化していく

公開日:2020/09/19 06:00 更新日:2020/09/19 06:00

菅義偉が第99代首相に指名された。アホにも限度がある。菅は安倍と一緒に7年8カ月に及ぶ悪政の責任を追及される側の人間だろう。菅は総裁選の公開討論会で森友学園への国有地売却の公文書改ざん事件について、「結果は出ている」とし“解明不要”との立場を鮮明にした。またテレビ番組で、政府の政策決定後に反対する官僚は異動させる方針を示した。内閣人事局も見直す考えが「ない」と明言。要するに政権に忖度する官僚以外は排除するという宣言だ。カジノ勢力とつながり、橋下徹を政界に引き込んだのも菅である。
私はナチスやヒトラーと絡めて、政治家を批判するのは好きではない。レッテルを貼ればそこで思考が停止してしまう。その上で言うが、維新の会はナチスと酷似している。確信犯的に嘘、デマ、プロパガンダを垂れ流し、反論は無視。ナチスの宣伝相ゲッベルスは「嘘も100回言えば真実になる」と言ったが、連中は最初から言葉の価値など信じていないのだ。
共同体から切断され都市部で発生した「大衆」は、不安に支配され、新しい生き方を提示し、人生の目的を与えてくれる疑似共同体に接近していく。ファシズムは大衆運動であり、中心は空虚で内容はない。そこでは事実はもはや問題ではなく、破壊という運動そのものが自己目的化していく。大阪維新の会法律顧問の橋下は、これまでタウンミーティングなどで「東京を飛び越えてニューヨーク、ロンドン、パリ、上海、バンコク、そういうところに並んでいく大阪というものを目指そうとする。これが大阪都構想賛成派」などと大言壮語を繰り広げてきた。しかし実際には住民投票で賛成派が勝ったら、ニューヨーク、ロンドン、パリに並ぶどころか、大阪市は村以下の特別区に解体され、府の従属団体になり自治権も失う。
橋下は著書で「ウソをつかない奴は人間じゃねえよ」「私は、交渉の過程で“うそ”も含めた言い訳が必要になる場合もあると考えている。正直に自分の過ちを認めたところで、何のプラスにもならない」と述べている人物だ。11月1日投開票が予定されている大阪市の住民投票で問われているのはなにか?
われわれ日本人が「悪の支配」を拒絶し、人間としての尊厳を示せるかどうかである。