核のごみ 若者こそ関心を持って

北海道 社会 原発・原子力

<核のごみ 向き合うヒント>3 若者こそ関心を持って

北大工学部4年・渡辺恭也さん(22)08/27 10:27
札幌南高を卒業し、自動車エンジンの設計に興味があって北大工学部に進んだ。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)に関心を持ったのは2年前。授業の一環で、処分技術を研究する宗谷管内幌延町の幌延深地層研究センターを見学した。昨年は原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ))が募集した海外視察に他大学の学生と参加し、世界で初めて最終処分場を建設しているフィンランドの「オンカロ」や処分地を決めたスウェーデンの自治体を回った。日本でも、核のごみはどこかで処分しないといけない。もちろん自分のまちに持ってこられるのはみんな嫌だろう。でも、放射能は怖い、危険だと不安がるだけでなく、なぜ処分が必要なのか、どんな対策を取っているかを理解し、冷静に話し合う必要がある。
後志管内寿都町が処分地選定に向けた調査への応募を検討し、核のごみへの関心が高まることを期待している。でも周囲の学生を含め若い世代の関心は高くない。それが気がかりだ。原発も核のごみも、僕らの世代が生まれる前からあった。本当はもっと上の世代が解決しておくべき課題ではなかったか。東京電力福島第1原発事故が起きたのは僕が小学6年生の時だ。それ以来、原発はほとんど停止しているので、これまでの人生の半分しか原発の恩恵を受けていない。それでもこの問題を誰かが引き受けなくてはいけないなら、その誰かになってもいい。僕は大学院で処分技術の研究や理解活動に関わるつもりだ。
処分地を決める調査だけで20年。その後、処分場の建設を担うのは僕らの世代になる。若い世代こそ、この問題に関心を持ってほしい。(聞き手・関口裕士)

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CO2が地球温暖化要因であるとする科学的根拠のない風評が世界を覆い、すでに100兆円もの血税をつぎ込んでまでIPCCに頭が上がらない。また、福島第一のメルトダウン後、いかに多くの放射能汚染に関する科学的根拠のない風評が復興を妨げてきたか、今になって大部分の放射能は回収できても膨大な汚染水に含まれるトリチウム(H3)が放射性物質であるというだけで一般には放射能が含まれると感じてしまっている。H3は地球上には多く存在するし、その人体への影響はほとんどない。さらにコロナによる科学的、医学的知見をまともに説明しようとしない行政によって、ずたずたに経済を混乱させている。いずれも、行政担当者に科学的思考力のある人間が不在で、科学者や研究者の知見を理解できないことの証明でもある。
今回の寿都町の核のゴミ処分場としての調査研究という国の方針に、応募しようというだけで、なぜこんなにも反対が多いのか。核のごみ処理の科学的知識もなく、旧態依然とした風評被害を真っ先に挙げる漁連関係者や単に北海道になじまないという漠然とした反対論等々、真剣に泊原発や国の原発推進に対しての認識が不足し、単なる核アレルギーや放射能に対する拒否から反対しているものがこれほど多い。こんな一部人間の利害のみで日本が動いているとすればもはや救いようのない次元に入ってしまったように見える。
寿都町が核ごみ処理の調査研究の受け入れ先として応募することは、地域住民の生活を守ることでもある。泊原発の隣町に位置しながら、原発に関する交付金も受けられず、ポスト原発を見据えた風力発電に早くから取り組んできた町の努力も北電の買取価格のじり貧を見れば、今後の町が衰退の一途をたどるという危機感が当然ある。泊は休止中でも原発は冷却され微量でも放射能は出続けている。再稼働が認められても10数年で廃炉となることはその運転期間からも明らかである。その時までに核ごみ処理技術と安心できる保管技術の開発が必要なのである。少なくとも泊原発から出る核のゴミだけでも北海道が処理する責任がある。これは単に北電だけの問題ではなく政府、国民すべてがかかわる重大問題である。
にもかかわらずこんな科学的知見を持たない政治家や経済団体が風評被害などを理由に反対することは許されない。どのように処理すれば安全に核ごみを処理し保管できるか、その技術を開発する時間はもう限られている。こんな入り口でもめている段階ではないことを知ってほしい。