コロナ禍が生む「嫌日外国人」

日刊ゲンダイDIGITAL 政治・社会 社会ニュース 記事
出井康博ジャーナリスト
いでい・やすひろ 1965年、岡山県生まれ。早大政経学部卒業。英字紙「THE NIKKEI WEEKLY」記者などを経て、フリー。著書に「移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線」(角川新書)、「ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)など。

コロナ禍が生む「嫌日外国人」

監理団体の代表理事会長となった武部勤氏

公開日:2020/07/08 06:00 更新日:2020/07/08 06:00
昨年、人手不足の解消を目指して、外国人労働者のための新在留資格「特定技能」が鳴り物入りで創設された。外国人に単純労働を認める就労ビザである。ただし、資格を得た外国人は今年3月末時点で3987人。初年度見込みの10分の1以下にとどまっている。
反対に増加が著しいのは短期間の出稼ぎ労働者である実習生で、昨年は前年比で25%増え、41万人を超えた。特定技能が導入された大きな目的は、こうした実習生を食い物にする「悪徳ブローカー」の排除だった。政府が本気でそれを望むなら、ブローカーの介在を許す実習制度を廃止し、特定技能に一本化すればよい。なぜ、しないのか。
日本の中小企業や農家などが実習生を受け入れる際は、相手国の「送り出し機関」と日本側の「監理団体」を通す必要がある。どちらも公的機関のような名前が付いていたりするが、実態は民間の斡旋業者に他ならない。

■うまみが大きい斡旋ビジネス

「悪徳ブローカー」として問題になるのは、決まって送り出し側だ。しかし、手数料を得ているのは監理団体も同じ。受け入れ先の企業は、実習生1人の派遣につき、監理団体に月3万~5万円の「監理費」を支払わなければならない。その負担は実習生にはね返り、手取り賃金が月10万円程度に抑えられるという構図なのだ。
一方の監理団体は100人を斡旋すれば月300万~500万円の収入になるのだから、うまみは大きい。現地を訪問した団体幹部が、送り出し機関から接待を受けたり、キックバックの現金を渡されたりすることも慣例となっている。その原資も実習生が借金して払った手数料だ。
そんな監理団体の運営で目立つのは、落選したり引退した政治家の存在だ。実習生の受け入れで何か問題が生じれば、入管当局との交渉が必要となる。相手側の政府関係者とのコネづくりにも「元国会議員」の肩書が威力を発揮するからだ。たとえば、小泉政権時代に自民党幹事長を務めた武部勤氏が代表理事会長を務める公益財団法人「東亜総研」は、実習生全体の半数以上を占めるベトナム人に強い監理団体として関係者の間では知られた存在だ。武部氏は今年2月、自民党「外国人労働者等特別委員会」に登壇するなど、依然として政策への影響力も保っている。国内外の批判の的になりながら制度が拡大を続ける背景にあるのが彼らの存在だ。自民党のみならず野党も含めて団体の役員に名を連ねる政治家は少なくない。もちろん、政治家が実習生の受け入れに関与したところで違法ではない。それだけに「悪徳ブローカー」問題にも増して根が深いのだ。

コメント


認証コード6093

コメントは管理者の承認後に表示されます。