ドロボーに改憲させるな

それでもバカとは戦え

日刊ゲンダイDIGITAL 政治・社会 政治ニュース 記事
適菜収作家
1975年生まれ。作家。近著に「国賊論 安倍晋三と仲間たち」、「ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体 」など著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。

自民党草案は便所の落書きレベル

公開日:2020/05/09 06:00 更新日:2020/05/09 06:00
櫻井よしこが共同代表を務める憲法フォーラムに安倍晋三がビデオメッセージを送った(5月3日)。安倍は冒頭で「憲法改正は立党以来の党是」とボケた後(立党以来の党是は自主憲法制定)、改憲により「緊急事態条項」を創設する必要性を訴えたとのこと。新型コロナウイルスの感染拡大に便乗する火事場泥棒そのものだ。
政治哲学者で保守主義の代表的論客マイケル・オークショットは言う。
〈外科医が手術を行っているとき、彼はそのさなかだというのに、手を止めて器具を作り直したりはしない〉(「保守的であるということ」)
クリケットの試合中にルールを変更してはならない。
〈勝負の熱気と混乱のさなかにそれを変更したり改善を加えたりするのは、最も不適当なことである。実際、双方とも勝負に熱がこもってくればくるほど、頑として曲がらない一連の規則は、その価値を高めるのである〉憲法とは国家の秩序の根本規範であり、国民側が統治権力に約束させるものだ。「憲法が権力を縛るためのものだったのは王権の時代。その考え方は古い」などと言う安倍のような異常人物が出現したときに、国や社会を守るためにある。
「憲法はGHQの素人がつくった」と言う安倍の憲法観は素人の域にも達していない。 安倍改憲論のベースになっている2012年の自民党憲法改正草案には「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」「家族は、互いに助け合わなければならない」などと意味不明の条項が含まれていたが、もはや憲法ですらない。便所の落書きに近い。
安倍は「各種の世論調査においても、〈議論を行うべき〉という回答が多数を占めてきております」などとデマを流していたが、直近の朝日新聞の全国世論調査では安倍政権下の憲法改正に「反対」は58%、「賛成」は32%である。また、改憲議論を「急ぐ必要ない」は72%だ。
オークショットはルールの改正はシーズンオフに限定すべきだと言う。改憲議論はまともな政権ができた後でいい。現在わが国で発生しているのは護憲と改憲の対立ではない。憲法破壊と破壊反対の対立なのである。泥棒に法改正させてはならない。改憲派と護憲派は今はタッグを組み、異常な連中による憲法破壊を阻止すべきだ。

My Comment

桜井よしこをはじめとする、日本会議メンバーの民族主義的思考力しかない連中を支持基盤として、財界の都合の良い利権主義やそれらの財力に任せて、若いネトウヨに金をばらまき安倍の支持基盤を支えてきた構図は政治を冷静に分析している人間にとっては見え見えである。
にもかかわらず社会の底辺で経済を支えている非正規労働者を犠牲にし、一部の上流階級向けの政治を支持し続けた結果、安倍内閣が7年の長きにわたって政・官・財・日本会議が一大勢力を誇る独裁政治を作り出した。
この上憲法改正によって、明治憲法の再来をもくろむ安倍政権には決して改憲を許してはならない。安倍政権下の憲法改正に「反対」は58%で平均的日本人の思考力はまだ健全であることの証明でもある。
コロナ禍でさえ満足に制御できないアベノマスク的発想しかできないバカ殿には、改憲について提言することさえ国民は許さないのだということを自覚して、即刻退場願いたい。