新型肺炎の無責任対応は原発事故と瓜二つ

中村敦夫 怒りん坊の閻魔堂会議

三拍子が常態化

日刊ゲンダイDIGITAL公開日:2020/03/03 06:00

「またまた危ない隠しごと」

昨年の暮れ、武漢中心医院の眼科医が新型コロナウイルス患者の出現をSNSで発表した。地方政府はデマを流したという容疑で、この医師のグループ8人を摘発した。
今年1月9日になり、事実を隠しきれなくなった当局は、事態を追認した。告発した医師は、自らも感染し、2月7日に死亡した。
この時点で、感染病が国際化する危険は十分予想できたはずじゃ。
ところが、日本政府の情報収集能力は、戦前の大本営並み。政府にも厚労省にも危機感はなく、「水際作戦」だけが選択肢だった。オトモダチ首相にも居眠り蔵相にも、政府の出番だという感覚がなく、「桜を見る会」問題で、小さなオツムはいっぱいじゃった。
輸送機やクルーズ船の話が出てくることになり、やっと中枢が動いた。担当は流行性感冒長官、更生大臣、黒交大臣の3ボケ・トリオ。このレベルの政治家の視野は、自分の選挙区が精いっぱいの広さじゃ。何か重大事が起きても、不祥事としか考えない。そして、対処する手段は常態化しておるんじゃ。
つまり、「隠す」「嘘つく」「しらばくれる」の三拍子じゃ。
更生大臣が表向きのスポークスマンらしいが、当初から今日まで言うことがクルクル変わり、筋の通らぬ説明が多い。検査もしていない乗客を、何十人も下船させたり、係の役人や医療関係者が簡単に感染しちまうのは、どういうことじゃ。一般市民は、具体的に何をどうすりゃいいんじゃ。エロ映画の題名じゃあるまいし、「濃厚接触」なんて言葉、誰が発明したんじゃ。
国会議員たち、とくに与党の政治家たちは不真面目すぎる。状況がかなり深刻になった10回目の新型コロナウイルス感染症対策本部の重要会議では、3人の大臣が私用で欠席。
小泉進次郎勘狂大臣は、選挙区の新年会を優先した。地元のオバタリアンたちに笑顔を見せるのもいいが、ことの重大さを認識する能力はあるのかね。copの国際会議では、及び腰の環境政策を皮肉られ、不名誉な化石賞を与えられた。また、何を勘違いしたのか、copを「セクシー」などと珍形容して失笑を買った。こざかしい言動だけじゃ大物になれんぞ。
さて、思い返して欲しい。今回のウイルス騒動は、福島原発の無責任対応とうり二つだ。違うのは、原発被害の地域特定は可能だが、今回は無限に広がる要素がある点だ。
(筆者は2016年に出家得度)

My Comment

日本中が科学的、医学的知見に対してあまりにも無知で、危機管理や社会システムの構築に全く論理的筋道がない。
自分たちの都合だけで行う政治がいかに危ういものか思い知ったことだろう。誰かが言い出したCO2 温暖化要因もしかり、100%安全だと言い続けて国策で進めた原発の破綻、国鉄・郵政・電話の公共インフラを金儲けの手段として民営化。社会の構成員が働いて得るべき人件費をケチって海外流出した金の亡者の企業。すべてがこの国の成り立ちを崩壊させてしまった。いま日本は正業に就けない人間と大企業でぼろもうけする企業でその格差は広がる一方。世の中はいたわりと深い人情的つながりが日本の美徳であった時代はとっくに崩壊し、安易に大金を得るプロスポーツと三流芸人、フアイナンスや外国観光客に日本の文化を売りつけて成り立つインバウンド政策。さらに国が賭博場を開くなど不労所得と詐欺と暴力がまかり通る3流国に成り下がってしまった。
唯一日本らしい決断は、IWC(国際捕鯨委員会)の脱退である。世界と同一の規制に唯々諾々と従う必要はない。日本の伝統的捕鯨が戦後の国民の食糧不足を救ってきたことや、種の保存などというまやかしの自然環境保護団体に対しても毅然とその科学的根拠を示せばよい。
石炭火力がだめだというならば、化石燃料を産出できない国は永久に発展は望めない。IPCCのようなエセ団体から脱退したトランプ大統領はその真意はわからぬが英断だと思う。日本が3流国に成り下がってありもしない温暖化対策として年間3~4兆円、GDP を押し下げる逸失利益を含めると10兆円もの負担を国連から強いられている。もう経済的にも国際競争力もなくなった日本には負担能力はない。即刻、IPCC脱退を図ることが国益である。その環境大臣に小泉進次郎などのような無能力者を大臣にするなど安倍総理の人間を見るおつむの程度を疑う。今回の政府の対応能力は全く論理的筋道のない思い付きでしかない。この混乱の責任は国会では通用するご飯論法ではなく、科学的・医学的見地からの論理的説明がもとめられることを心してほしい。経済も、貴重な国民の命も守れない政治家は即刻引退してもらいたい。