矛盾だらけの消費増税強行

安倍首相で日本経済は地獄行き

日刊ゲンダイDIGITAL 公開日:2019/07/03 15:00

1日に発表された6月の日銀短観と内閣府の消費動向調査は、企業と消費者の冷え切ったマインドをクッキリ浮き彫りにした。さらに驚くのが、今回の結果が過去2回の増税延期直前の調査より、断然悪いということだ。安倍首相は、自ら延期した時よりも悪い経済状況なのに、増税を強行しようとしているのだ。
6月日銀短観は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回3月から5ポイント下落のプラス7となった。2四半期連続の悪化で、2年9カ月ぶりの低水準だった。
安倍政権は10%への消費増税について、予定していた15年10月と17年4月を2回延期している。今回同様、実施予定時期の4カ月前の短観(大企業製造業のDI)を調べてみた。
15年6月は、前回比3ポイント増のプラス15、16年12月は前回比4ポイント増のプラス10だった。
内閣府の6月消費動向調査は、消費者心理を示す消費者態度指数(2人以上の世帯)が前月から0.7ポイント低下の38.7となった。9カ月連続の悪化で、14年11月以来4年7カ月ぶりの低水準だ。
延期前を見ると、15年6月は前月比0.3ポイント増の41.7、16年12月は前月比2.2ポイント増の43.1だった。

■参院選で「ノー」の審判を

両調査とも延期した時の数字は、今回より絶対値がいいだけでなく、前期比プラスになっている。つまり、景気が上向き傾向だったのだ。それでも安倍首相は、景気停滞を心配して増税延期を決断したのである。
延期した時よりも数字も傾向も悪化しているのに、増税断行はまったくつじつまが合わない。そんなことをしたら日本経済がメチャクチャになるのは目に見えている。そのことは延期した安倍首相自身がわかっているはずだ。立正大客員教授の浦野広明氏(税法)が言う。
「消費者は、すでに昨年末から長期間、幅広い商品の値上げラッシュに悲鳴を上げている。また、2000万円問題をきっかけに、年金など将来不安もかつてないほど抱いています。今回の2つの調査の数字を含めてどの角度から見ても、10%への引き上げは絶対にやってはいけないタイミングです。10月が近づき、あきらめムードも出てきていますが、7月21日の参院選で増税ノーの審判を明確に下せば、10月の増税延期は十分間に合います。野党は、消費増税の可否を最大の争点にして、参院選を戦うべきです」民意の力で増税をはね返せるか。

My Comment

現政権は、消費税を都合よく2回もの延期というエサを選挙に利用して、国民の目を引き付け、異常な強権政治を作り出した。
さすがに今回の参院選挙では、争点として国民に問うべき問題すべてがネタ切れとなった。それは森友、加計問題、水道法の民営許可、辺野古問題、北方領土返還からの撤退、拉致家族の救出、等々の解決どころか悪い方向に進んでいるからである。
肝心なアベノミクスのトリクルダウンが全く機能していないことが国民にばれ始めた。アベノミクスで大企業や投資家の内部留保は450兆円を超えた。消費税の数兆円を国民に押し付け、これら富裕層の所得には目をつぶる。こんないい加減な政治はない。口を開けば国民を守る、美しい日本を作るといいながら、全く逆方向に進んでいる自民政治に主権者は気づかなければならない。どんな美辞麗句を並べても、安倍総理の言葉に真の熱意も、哲学も感じられない。
やはり、自民党は政官財が癒着した強権政治だったことがはっきりした。ここにきてまで、国民の7割が憲法改正の必要性のないことが分かっているのに、これを争点にしなければ支援者に顔向けできない。
そんなこんなで野党は消費税延期もしくは凍結で、与党のみ増税実施で戦わざるを得なくなった。
党首討論で、安倍は憲法改正を焦点にしようと躍起だが、国民は消費税凍結から廃止の方向である。
千載一隅のチャンスである。憲法とか安保とかではなく今回の選挙は消費税をやめさせ大多数の国民を貧困から救うべきぎりぎりの選挙である。心して一票を投票したい。