<提言2019統一地方選 次の北海道>

提言14 地方軽視 国にもの申せ

北海道新聞 03/08 09:29
提言者:ジャーナリスト 金平茂紀氏(65)
1953年、旭川市生まれ。TBSのモスクワ支局長、報道局長などを経て、2010年から「報道特集」キャスターを務めている。

沖縄県名護市辺野古に米軍の新基地を建設することの是非を問う県民投票を2月に取材しました。そこで強く感じたのは、今の政治は中央集権が強化され、地方が切り捨てられているということです。北海道と沖縄は東京から遠く、本土を「内地」と呼ぶなど似ています。そして、ないがしろにされてきた歴史がある点も似ています。
北海道で今、ないがしろにされていると感じるのは、JR北海道の路線見直し問題です。広い道内で鉄道は地域にとって重要な基盤です。鉄道でつながっているから地域が成り立っているのに、「もうかっていないから」という理由で切り捨ててしまう。採算が取れないことは民営化する時から分かっていたことです。4年前に災害で不通となった日高線は運休が続いていますが、こんなことは関東や関西ではあり得ません。以前、台風被害でジャガイモが不足し、全国でポテトチップスが品薄になったことがありましたね。この事例が象徴するように、北海道は日本の産業の重要な部分を担っているのです。その誇りが今、失われてしまっています。米軍基地を押し付けられ、県民投票で意思表示した沖縄とは対照的です。高橋はるみ知事は国に対し愛想が良い印象だけで、北海道の誇りを感じることができませんでした。
札幌一極集中の問題もありますが、まず過疎化の進む地域は顧みなくていいという弱肉強食型の政治を進める国に、道民の利益を考えてもの申せる人が北海道のリーダーになるべきだと思います。永田町や霞が関など中央との関係で生きていくという考えは捨てた方がいい。食や観光、代替エネルギーの分野でも北海道は自立できるだけの潜在能力を持っているのですから。
(聞き手・東京報道センター 井上雄一)

My comment

道知事選の告示が3月24日、投票日4月10日と審判の日が近づいてきた。北海道新聞には連日有識者の提言が掲載されている。
先日同様、4期16年の高橋知事がレガシイとなるような北海道の方向を示したかと問われると、ノーとしか言えない。これはどの提言者も指摘している。
このような知事の姿勢を早くから指摘しているにもかかわらず、4期も続いた失われた道政は選挙民の責任でもある。
今回ほどしっかり政治を監視しなければ恐ろしい社会へ変化する分水嶺である。よく報道の本質を見極めつつ主権者の意思を示さなければならない。