<提言2019統一地方選 次の北海道>

提言11 権限移譲で国から自立

北海道新聞 03/05 09:12
提言者:早稲田大大学院教授 片山善博氏(67)
1951年岡山県生まれ。東大法学部卒。鳥取県知事、慶応大教授などを経て現職。2010年の菅改造内閣で総務相を務めた。

鳥取県知事時代、高橋はるみ知事に言ったことがあります。「道州制特区になったんだから、国にどんどん権限移譲を求めたらどうですか」と。高橋知事から前向きな答えはありませんでした。民主党政権で総務相に就任した後も、道から熱意ある提案はありませんでした。結局、国から道に移譲されたのは商工会議所の定款変更の認可などささやかなものばかりです。
新知事は特区を生かし、国に大きな権限移譲を求めてほしい。例えば国土交通省が持つ鉄道の監督権。事故が続いたJR北海道の監督は、自ら利用する道庁職員の方が真剣味が増します。公共交通などに関わる国庫補助金は、国に一括要求してはどうでしょう。航空、高速道路、鉄道など道内の交通体系を総合的に検討し、どこに投資するかは道庁が主体的に考えるべきです。多額の道路予算を、鉄道に回すこともできます。広大な道内を1人の知事で目配りするのは無理です。道から市町村、各振興局への権限移譲も検討するべきです。高橋道政による支庁制度改革は、歴史ある「支庁」という名前が「振興局」に変わっただけで無意味でした。鳥取県では各地の総合事務所の事務所長に相当な権限を降ろしました。
今の北海道は、国の政策に従属的な面が強いように見えます。どこの知事も国とのパイプづくりを重視しがちですが、それを何十年も続けて地方は衰退していった。これからの北海道に大切なのは、地域本位の自立精神だと思います。ただ、1人の知事に期待しすぎない方がいい。道議会は詳細な答弁調整をやめ、かんかんがくがくの議論をするべきです。その中で導き出した北海道独自の地域づくりを進めてほしいと思います。(聞き手・東京報道センター 津田祐慈)

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提言13 地方分権の議論今こそ   

北海道新聞 03/07 09:12
提言者:北大大学院教授 吉田徹氏(44)
東京都生まれ。東大大学院総合文化研究科博士課程修了、専攻は欧州比較政治。著書に「感情の政治学」など。

欧州などの先進国では連邦制の国が多いこともあり、地方分権が前提になっています。しかし、日本では逆に地方分権の議論がすっかり下火となり、中央集権的な構造が残ったままです。地方分権の議論は、地方から積極的に問題提起しない限り、前に進みません。今回の統一地方選を通じて、地方自治のあり方が問い直されるべきです。分権はなぜ必要か。ニーズは地域によって多様化していますが、大きな中央政府では全国共通の画一的な制度しか認めることができないため、地方特有の事情に対処できません。中央集権が続けば、道庁も中央から、いかに手厚い配分を受けられるかという発想に陥ってしまいます。JR北海道の路線見直し問題への対応に象徴されるように、道庁は現状維持に終始し、負の状況をいかにプラスに変えるかという視点が不十分になります。
このため、4期16年の高橋はるみ道政にはレガシー(遺産)と呼べるようなものが見当たりません。過疎化、モビリティ(移動手段)の欠如など、他府県もこれから直面するであろう課題を先行して抱えているにもかかわらず、手本となるような北海道独自の対策を示せませんでした。北海道の「らしさ」を生かしつつ、北海道の自治をどう実現するのか。知事候補は具体的な言葉で語ってほしい。トップが攻めの姿勢で北海道の未来像をしっかり示せれば、道民も勇気付けられるでしょう。
道議会のあり方も問う必要があります。地方議員の数を減らすべきだという声が道民に根強くあるのは、活動が十分に見えず、存在感が低下していることの表れです。開かれた議会をどうつくり、住民参加をどう促すか。根本から考え直すべきです。(聞き手・報道センター 内藤景太)

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My Comment

過去のブログでも再三指摘しているように、4期16年にもわたる高橋道政は、北海道の発展にとって失われた16年といってもよい。
道民ももう少し政治を監視し、単なる自民党と野党の争いではなく真に国民が望む方向性を発出する必要がある。北海道は食料については自給率が高く道民が贅沢さえ言わなければ未来永劫自立できる可能性がある。
日本が東京一極集中によってあらゆる政策がこれらを対象としたものである。北海道開発局が、インフラ整備についての使命を終えたのであれば、これからは自立のための道民の幅広い意見を取り入れ、独自の方向性を打ち出すべきである。
核家族化よって、少子化が加速し介護さえ行政任せになってしまった中央のやり方は、明らかに一部資本家の思い通りの世の中になりつつある。昭和の時代に日本は総中流家庭といわれた時期から、わずか30年ほどで一握りの富裕層と大多数の貧困者に色分けされ、貧困層の老人や子供はますます増えていく。将来的には民族力が低下して、アメリカの属国になり下がっていくのではないだろうか。
失われた北海道の16年を取り戻す知恵が道民にはあると信じる。知事候補者は心して自らの北海道の姿を示すべきである。若すぎる知事候補に自民党は何を期待するのか。北海道の事情がどれほど理解できているのかはなはだ疑問である。高橋道政のように中央政府の意向を代弁する知事はいらない。この16期だけで充分である。
北方領土交渉一つとっても北海道にとっては大問題であるはずなのにまったく進展させない高橋道政は国土を失うところまできた。