高橋道政の無責任

<舞台裏を読む>「脱原発条例」たなざらし

北海道新聞 02/13 10:54 より.

原発を「過渡的なエネルギー」と位置づけ、「脱原発の視点」に立つと宣言する条例が北海道にある。16年続いた高橋はるみ道政が始まる2年前、2001年1月に施行された「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例」だ。11年3月の東京電力福島第1原発事故後は、脱原発を訴える市民団体などが広く道民に条例を知ってもらおうと動いたが、「当事者」であるはずの道や北海道電力は、見て見ぬふりをしているようにも映る。「張りぼての虎のようなもの。条例の存在を知る道職員も減った」。同条例を所管する道環境・エネルギー室で勤務経験がある年配の職員は、そう話した。「脱原発」をうたう条例は都道府県で唯一。道議会で成立した2000年、当時の堀達也知事は北電泊原発(後志管内泊村)の3号機建設計画を容認した。計画に慎重だった当時の民主党の主張で条例に「脱原発」の文言が入った経緯がある。この頃を知る職員や道議は「与野党会派が刺し違えた」「妥協の産物」と条例の生い立ちを表現する。
曲折を経てできた条例を、積極的に道民に知らせる姿勢は道にない。再生可能エネルギー拡大を図るため、1月に開いた有識者会議の初会合でも資料として条例全文が配られたが、道の担当者が「脱原発」に言及することは一切なかった。
道民にもほとんど知られていない。昨年11月、札幌市内で開かれた原発とエネルギーに関する講演会で、講師がこの条例について参加者約60人に尋ねたところ、「知っている」と手を挙げたのは5人だけだった。
高橋知事は1月29日の記者会見で「現にある条例なので、その趣旨に沿って行政を行うのは当然だ」と明言した。その一方で、泊原発再稼働の是非を結論付ける際、条例の文言が判断材料になり得るかとの問いかけには、「仮定の質問には答えづらい」とかわした。
15年末に国の原子力規制委員会が泊原発の再稼働の前提となる基準地震動を「おおむね了承」し、16年度中にも知事判断の局面を迎えるとみられたが、審査は停滞。残り3カ月を切った高橋知事の任期中に判断を迫られる可能性は消えた。
記者「では、次に知事になる人はどう判断すべきだと思いますか」
知事「その方に聞いてください」再稼働の判断を巡って「国の責任で」と繰り返した高橋知事は、退任後に7月の参院選に挑む道を選んだ。もはや道の条例には関心がないのかもしれない。
1月31日の真弓明彦・北電社長の記者会見でも、脱原発が盛り込まれた道条例の存在をどう思うか、尋ねてみた。社長は昨年改定された国のエネルギー基本計画で、原発が「基幹電源」と位置づけられたことを挙げ、泊原発再稼働に「全力で取り組む」と強調した。
記者「では北電としては、道の条例なんて知ったことではない、関係ない、ということですか」
社長「私自身、条例を全て読み込んでいるわけではなく、(脱原発という)一文をとらえてどうという話はちょっと申し上げにくい。北海道のエネルギーを支えるため、再稼働に全力を尽くしたい」
問いと答えがかみ合わないまま、「脱原発条例」はたなざらしにされている。(報道センター 関口裕士)

北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例

(2001年1月1日施行、抜粋)

 原子力は、発電時に温室効果ガスを排出しないことなどの優れた特性を有している反面、放射性廃棄物の処理及び処分の方法が確立されていないことなどの問題があることから、過渡的なエネルギーと位置づけられる。
私たちは、積雪寒冷な北海道においてエネルギーが社会経済の健全な発展と生活の安定のために不可欠な要素であることを深く認識し、脱原発の視点に立って、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぐとともに、北海道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している。

My comment

高橋道政については、このブログでも再三取り上げてきたが、参議院転出を前にして、原発再稼働やJR支援、IR法案3つとも北海道の将来を決める重大案件であるにもかかわらず、何一つその方向も示していない。北電が再稼働に動き始めているときに、たとえ原子力規制委員会が安全基準合格を認定したとしても、北海道の脱原発条例がある限り、知事はこれを無視して再稼働認可を出すことはできないはずである。ならば、道民が日本一高い電気代にあえぎ、胆振東部地震による、北電のブラックアウトにさえその賠償を見送ったのも、すべて原発再稼働によって、少しは電気代が低下するだろうとの期待感である。一部には再稼働安全規制対策に膨大な費用がかさんで、再稼働しても電気代を下げることができないとも言われている。
北海道の脱原発条例は、全国に先駆けとなるものである。
しかも、「高橋知事は1月29日の記者会見で「現にある条例なので、その趣旨に沿って行政を行うのは当然だ」と明言した。その一方で、泊原発再稼働の是非を結論付ける際、条例の文言が判断材料になり得るかとの問いかけには、「仮定の質問には答えづらい」とかわした。」とある。
安倍総理の嘘つき、言い換えのごはん論法を地で行くコメントではないだろうか。少なくとも、次期知事には北海道の将来ビジョンを示して実行してもらいたい。
そして、やすやすとその責任から逃れようとする、高橋知事を国会に送ってはいけない。