アベノミクスの破たん

マイナス金利 日銀の危うすぎる賭け

01/30 05:05 道新社説より

日銀が、マイナス金利という効果未知数の領域に踏み込んだ。きのうの 金融政策決定会合 で、金融機関が日銀に新たに預ける当座預金に付く金利を、現行年0・1%からマイナス0・1%に引き下げることを決めた。
利息をもらえず、手数料を支払うことになる金融機関が、日銀にお金を預けるのを避け、貸し出しを増やして実体経済に回すよう促すのが狙いだ。
しかし、こうした効果が表れる保証はなく、過度の円安といった大きなリスクをはらむ。
現に欧州中央銀行(ECB)などがデフレ回避に向け、ひと足早く導入したが、期待された成果は挙がっていない。
賛成5人、反対4人と政策委員の意見が分かれたのも、日銀自身に迷いがある証左だ。あまりに危険な賭けと言わざるを得ない。
異次元緩和は限界に近づいていた。国債購入などで大量の資金を供給しても、2%の 物価上昇目標 が実現するめどは立たない。

中略

マイナス金利は追い込まれての奇策と言える。黒田東彦総裁は「消費や投資にプラスに効く」と述べたが、疑わしい。
国債買い占めで供給してきた資金は株式や外国債に向かい、株高・円安をもたらす一方、残りは日銀当座預金に滞留した。マイナス金利でこれを吐き出させても、実体経済に流れるとは限らない。
既に金利は十分に低い。企業の 設備投資 が増えないのは、有望な投資案件が少ないからだ。
円安の進行は輸入物価を上昇させ、原油安でひと息つく家計や中小企業を圧迫しかねない。

後略

My Comment

道新社説は的を得た評価である。
アベノミクスがデフレから脱却し、2%の物価上昇によってインフレへ誘導しようとしたが、まったくその政策は功を奏していない。高度成長がはじけて、ほぼ30年になろうというのに、まったく政府の経済政策は有効な手が打てない。
原因ははっきりしている。経団連と国際基督教大八代尚宏、竹中平蔵等々の経済学者があまりにもグローバル化を唱え、なんでもアメリカの経済政策ばかりを追い求めたからだ。
好循環を生んだ高度経済成長時代は労働者保護が行き届いていた。年功序列といわれながらもしっかり日本の企業を支えてきた日本独自の雇用制度は、日本的家族制度を維持するうえで必要な制度であった。その良き慣習を企業家や経団連のもうけ主義に迎合した自民党が、これを根底から打ち壊してしまったからである。
これだけ労働者と資本家・投資家・富裕層との格差が大きくなると、もはや必要品以外は購入しない。また、一部大企業や金融機関の社員でもない限り、消費するほどの賃金レベルにない。それに追い打ちをかける消費税増税。
更に危険なマイナス金利の導入。そろそろ日銀も状況分析してアベノミクスの失敗を認めたらいい。