マイナンバー制の危うさ

霞が関に専門IT技術者部門を設けよ

 マイナンバー制度の導入に向けた厚生労働省のシステム設計などの業務を巡る汚職事件が発生し、以前には年金機構のデータ流出、10/15の年金支払いミス等々素人としか思えないお粗末なIT管理を危惧していたが、今回の厚労省のマイナンバーのシステム設計でたまたまITに詳しい職員が汚職を繰り返していた。
その不正の監査や管理さえもできない省庁管理職はITを扱う資格がないともいえる。
マイナンバー制度は将来個人所得や資産の把握が目的であり、低所得者には何の心配もないが、肝心の官庁のレベルが民間IT技術よりはるかに劣っているため、システムの弱点を知り尽くしたIT技術者がどんな悪さをするか計り知れない。
この様なIT技術のシステム発注に際しては、准公務員としての契約が必要で万が一にもデータ流出が起こった場合、システム設計を行ったIT技術者・企業・発注した監督官庁すべてが犯罪者としての摘発を受けることを前提としなければ、国民はハイそうですかと受け入れるわけにはいかない。

この事件は、厚生労働省情報政策担当参事官室の室長補佐、中安一幸容疑者(45)が、平成23年、マイナンバー制度の導入に向けた医療分野のシステム設計などの業務を巡り、都内の情報関連会社に便宜を図った見返りに現金100万円を受け取ったとして収賄の疑いで逮捕されたものです。
これまでの調べで、中安室長補佐は贈賄側の会社に厚生労働省が作るべき仕様書の原案を作らせていたとみられ、会社はそれに沿った提案を出し、業務を受注していたことが分かっています。

この様な汚職ができる背景に、中安室長補佐が医療分野のIT化についての豊富な知識を悪用し、ほとんど一人でこの委託業務を仕切っていたことです。その上司にあたる室長は何を管理していたのでしょうか?。
霞が関の官庁の管理者はIT技術に疎い人間ばかりだということがばれてしまったことになる。
これからの時代、霞が関に専門IT技術者部門を置くべきである。すべてがITで管理される時代にこれらのデータが悪用されることはますます多くなることが予測されるから、時代を先取りした国家的なIT技術者専門の機関を早急に設けるべきである。

マイナンバーは使い方が命

特に、マイナンバーを使って、富裕層の脱税を取り締まるとか、医師の不正診療請求を摘発するとか、政治家の金の流れを把握して、汚職や政治資金法違反を摘発することなどをやってもらえば、税収増と社会的公正を同時に追求できる制度である。
また、そうしたことがしっかり行われることを前提に、所得が低くて、所得税を払わなくても良い低所得層に対して、様々な形で手厚い補助を行うということに使えば、庶民のためになるシステムになり得る。
しかし、今の政府のやり方を見ていると、まずは、貧乏人をしっかり管理して、不正な生活保護や給付を節約しようという考えがミエミエだ。あるいは、政治家や金持ちには遠慮して厳しくできないという姿勢があるように思えてならない。
ならば、国がマイナンバーで個人や企業の所得・資産を捕捉するのは、まず、政治家、次に大企業・富裕層という順序で進めるべきなのではないか?
先にこれらの富裕層の脱税・所得・資産をしっかり把握したうえで、不正や情報漏えいなどの問題が起きないことを確認してから一般市民への適用を考えればいい。