教育問題その2

道新風聞異聞に次のような記事が掲載された。

小学校の英語教育に関して、文科省や一部の英語学者が「グローバル化
に対応した英語教育の実施計画」を発表したのは昨年末であった。
一部の委員のみの考えで、前のめりに教育に教科を持ち込むことは、
重大な問題である。
語学が必要なことは反対するものではないが、義務教育に持ち込んで、
しかも教科として評価し、これに続く高等教育への入試科目にまで持ち込む
ことは大問題である。

まず、小学校で、英語教育ができる教員がどれだけいるのかが大問題。
その公正な評価方法も疑わしい。
国語でさえしっかり義務教育で教えてきていないから、今の中・高校生
の大部分は国語の読解、文章作成が驚く程苦手である。
現状の教育に将来の日本の行方がかかっている重大問題である。
先に、ゆとり教育を実践して国民の学力を大きく落とした文科省は
その反省もなく、拙速に教育の変更を行う信任を受けていないこと
を自覚せよ。
以下編集委員 関 正喜氏の記事を一読願いたい。
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 別に早く始めなくたって  道新風聞異聞 

文部科学省は昨年末「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表
した。具体化に向けて有識者会議(座長・吉田研作上智大教授)が設けられ、
23日には第3回が開催される。
 計画には、現在は小学校5年生から始める「英語活動」を3年生からに繰り上
げ、5、6年生では英語を「教科」にする、つまり成績評価の対象にすることも
盛り込まれている。
そこには「語学は早いうちから始めるほど身につく」という信仰がある。

 しかし、だとしたら仏文学者、独文学者等々の人たちの立場がないではない
か。大半は大学生になってから勉強を始めたはずだ。

 理工系の研究でも、英語での論文執筆が必須。ここで持ち出すのもなんだが、
小保方晴子さんの論文にしても英文だ。けれど、小保方さんが卒業した公立小学
校に、英語の授業があったわけではない。

 もうひとつ、これも逆の例。横綱白鵬関の流ちょうな受け答えを思い出そう。
来日は1 5歳の時だった。
 「語学は早いうちから」信仰には、母語の習得と外国語学習の混同がある。

 日本に生まれ、日本で育つ赤ちゃんが日本語を身につけるプロセスと、日本で
(日本語環境の中で)過ごす子ども(青年)が外国語を習得するために有効な方
法は、おのずと異なる。外国語習得には多大の努力が必要なのだ。
 小保方さんは研究者になるため、英語も一生懸命に勉強したことだろう。

日本相撲協会に、語学研修などないそうだ。習うより慣れろ。「それが一番身につくんじゃないですか」 (協会広報)。

何年かけようと、週に数コマの学校教育で英語が使えるようになるなんて、
幻想だ。そんなに甘いものではない。
だが、何歳から始めようと、本当に必要な事情ができるか、本当に好きになれば、
身につく。見本は、いくらでもある。

 「かもしれないが、早く始めるに越したことはないでしょう」
 どうだろう?
 昨年度の全国学力・学習状況調査(文科省)では、英語の学習が好きと回答し
ているのは小学校6年生で76%なのに、中学校3年生では53%に低下している。
英語嫌いが増えている。小学校の英語を「教科」にすると、この傾向まで前倒し
になりはしないか。

 親としては「これからの時代、せめて英語ぐらいは」と言いたい気持ちは山々でしょう。
大丈夫。あなたのお子さんに、英語が本当に必要なときがくれば、いや
でも勉強する。
 だから、子どもにプレッシャーをかけないでください。英語嫌いにしてしまっ
ては、元も子もない。
 このお願いは、同時通訳者として活躍し、今は立教大特任教授で、英語教育に
ついてのオピニオンリーダーでもある烏飼玖美子さんからの受け売りです。
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