原点回帰

 8/6の広島原爆記念式典での野田首相のメッセージは、何とも説得力のない論理矛盾に満ちていたことか。そう感じた国民は多かったと思う。核兵器としての使用はもちろん核廃絶へ向けて、唯一の被爆国である日本が先頭を切って努力することは論をまたないが、平和利用の原発だといっても、いつ国民を放射能汚染に巻き込むか分からないという経験を積んだのだから、再稼働どころか即刻原発0へ躊躇なく切り替えるべき時である。
 
 その再稼働にろくに議論もせずにゴーサインを出した首相が、広島へ来てあのような演説を臆面もなく出せるのか、一般人にはとても不思議に見えた。将来的には、原発0と言い繕っても本音は見えている。

 日本のエネルギー政策は、いつも一握りの関係団体の利害関係で作り上げられてきた経緯を今一度検証してみる必要がある。石炭から石油、オイルショックから原発へ。ありもしないCO2による地球温暖化のキャンペーンでさらなる原発開発へと突き進んできた。明らかに政治の都合・御用学者・業界の都合である。

 全て国民の多くの犠牲を伴い、産炭地の衰退、地方の過疎化へと際限ない犠牲の上に福島の放射能汚染で故郷まで奪った。

 誤った方向性が行くつく先は、それを打ち出した者の責任ではなく、いつも「国民の犠牲を生んできた」ということを為政者は反省すべきである。

 本当に国民にとって幸せなこととは何なのかを、原点へ立ち返って考えてみる千載一隅のチャンスでもある。

 原発はいらない!福島の廃炉でさえこれから40年もかかるという。危なくて見ていられない。福島は終息どころか、まだ放射能は出続け、不安定な使用済み燃料棒が、ほとんど遮蔽能力のない燃料プールに保管されているのである。